2度目のデビュー
また更新が途絶えてしまって申し訳ありません。
この日は朝からそわそわしていた。
何を隠そう、裕香が初めて載るLaLaの発売日だ。
「どんな風に載ってるのんだろうね」
姉妹でのインタビューもあるので舞香も楽しみにしている。
少し早めに家を出て一緒に最寄りのコンビニへ立ち寄った。
雑誌コーナーを見ているとLaLaが何冊か置かれていたので、
そのうちの1冊を舞香が手に取った。
何ページか捲ると舞香と裕香と玲衣の3人が載っているページが出てきた。
それを見た裕香は感動してた。
「ホントに載ってる…わたしも読モなんだ…」
「そうだよ、いい表情してる。ほら、ここなんて裕香ひとりだけだよ」
裕香が載っているのは全部で4ページ。
どれも他のモデルと遜色ない感じに写っていた。
そして雑誌のちょうど半分くらいに2人のインタビューが3ページに渡って
掲載されていた。
仲がよさそうなツーショット。
こうやって見ると双子かなと思うくらい似ている。
内容も2人が答えた内容がほとんどで、あまり脚色した感じはしなかった。
「すごい…わたしたちだけの特集だよ」
「ね、わたしも読モやってからこんなの初めてだよ。あ、そろそろ行かないと電車に間に合わない!」
時計を見るとギリギリの時間。
慌てて雑誌を戻して駅へ向かった。
なんとか遅刻せずに大学へ到着。
講義の準備をしていたら美沙がやってきた。
手にはLaLaを持っている。
「裕香、見たよ!すごい、何ページも載ってるし舞香ちゃんとのインタビューまであるし」
テンションが高いのか声が大きく、まわりがこっちを見ている。
「ありがとう、でも美沙声が大きい…」
「だって裕香がLaLaに載ってるんだよ!」
これを聞いて裕香が読モになったことを知らない子たちまで集まってきた。
「え、モデルなの?」
「読モだけどね。今月号から…」
「え、これ君川さん?しかも舞香ちゃんお姉さんなの?」
LaLaは20代前半の女性に人気の雑誌なので大学でも読んでいる人は多い。
なので舞香は彼女らにとっては有名だ。
そんな彼女らが美沙の持っていたLaLaを一緒に見ている。
「普段から可愛いと思ってたけどLaLaの君川さんもっと可愛い」
「あ、ありがとう…」
まさか読モでここまで注目されるとは思っていなかったので
少し恥ずかしい。
大学が終わり、今日は予定がないので美沙と2人でカフェに寄っていた。
「一気に注目の的だね」
「美沙が大きな声でいうからだよ」
「だって嬉しいもん。親友が読モだよ」
親友と呼んでくれる美沙に感謝だ。
「別に読モやってても変わんないって。わたしは今まで通りだよ。それよりケーキ撮ってインスタに上げないと。撮ってくれる?」
「いいよー」
ケーキの前に両手を広げている裕香をスマホで撮る。
最近はこうやって服やカフェなどの写真をこまめにアップするようになっていた。
「ありがとう」
インスタを開いたら思わず「えっ」と声を発してしまった。
「どうしたの?」
「フォロワーがめっちゃ増えてる…」
500人くらいしかいなかったフォロワーが一気に1000人に増えていた。
それ以外にコメントも50件以上きている。
そのコメントを見ると、
「ファンになりました」「すごく可愛い」「舞香ちゃんにそっくり」など
LaLaを見て送ってくれたのがすぐわかる。
「みんな裕香を見て検索したんだよ!すごい!」
読モになるだけでこんなに増えるものなのか…
さすがに裕香は驚いていた。
その日の夜、裕香は姉の舞香に聞いてみた。
「お姉ちゃんってフォロワーどれくらいだっけ?」
「ん?1万くらいかな」
「1万…」
さすがに2年読モをやっていて人気もある舞香とは比較にならなかった。
「さては裕香フォロワーが増えたんでしょ」
「うん、今日だけで500人から1000人になった」
そういいながらインスタを開くと更に増えていて1200人になっている。
「また増えてる…」
「もっと増えると思うよ。わたしたちって同世代でオシャレな子に影響力あるんだから。裕香もこれからはその辺も考えて投稿しなきゃね。あ、もう姉妹って公表されてるんだから一緒に写真撮って載せようよ」
考えてみれば今まで姉妹で撮ったのは載せたことがない。
「うん、撮る撮る!」
舞香と顔を近づけての自撮り。
舞香のタグをつけて投稿したら山のように「いいね」が通知され、
フォロワーは一気に2000人になっていた。