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Butterfly  作者: 姫
33/45

和解、そして

驚いたし、なにがなんだかわからなかったけど

とりあえず撮影は無事に終わった。

やっと2人だけになる。

「えーと…裕哉、なんだよね?」

「ううん、裕香だよ」

「だから裕哉でしょ?」

「違うって、ほら」

裕哉が見せてきた学生証は裕香になっていて性別も女性になっている。

確かに着替えているときチラッと裕哉の身体を見たが女性の身体だった。

やばい、混乱してきた。

「ダメだ…わけがわからない」

「ちゃんと説明するから今日お姉ちゃんのところ泊っていい?」

裕哉か裕香かわからないけど、姉弟?姉妹?であることに変わりはない。

それにちゃんと事情も知りたいから「いいよ」と返事をした。

家に着くまでの裕哉はずっと服の話などをしていて、

まったくと言っていいほど裕哉ではなかった。

ただ、もし妹がいたらこんな子がいいな、と思っていた感じがして、少し嬉しかった。

家に着き、裕哉は「ここ久しぶりー」と嬉しそうにはしゃいでいる。

やはり舞香の知っている裕哉ではない。

「ねえ、とりあえず座って説明してよ」

「そうだった」

思い出したかのように慌てて舞香の前に座った。

「部屋を出てからのことを順番に話すね。わたしは裕香だったって話覚えてる?」

「うん」

忘れるはずがない、その話を真剣に聞かなかったせいで裕哉は出ていったから。

本当なら真っ先にそのことを謝るつもりだったが、

あまりにも予想外の姿になっていたので謝れずにいる。

「お姉ちゃんが言った通り、あれは夢でわたしは裕哉だって思って生活してみたの。けどダメだった、もうわたしの心は完全に裕香だった。だったら心に合うようにすればいいんだって…性適合手術をしたの。それで戸籍も名前も変えた。だから今は本当に裕香っていう名前なの」

「手術って…それに戸籍も…」

まさかたった1年ちょっとで、裕哉がこんなことになっているとは

思ってもいなかったから頭の整理が追い付かない。

それでも何とか質問をする。

「裕哉…ううん、裕香はそれでよかったの?」

「もちろん!やっと本来の姿になれたんだもん。前の裕香より背が高くて胸が少し小さいけどね」

そういって裕香は笑っている。

やはり舞香は複雑な気分だ。

この裕香は舞香の知っている裕哉ではない。

それなのにどこか懐かしい気持ちがある。

なんだろう、この気持ち…

舞香が何も答えないので裕香が少し不安そうな顔になって聞いてくる。

「お姉ちゃん、弟から妹になったのって迷惑だった?」

「別に迷惑じゃ…ただあまりに予想外だったから」

「そうだよね、弟が妹になったんだもんね。でもわたしは嬉しいんだよ。憧れてたお姉ちゃんに近づけたんだから」

そうだ、手紙に書いてあった。

「わたし憧れられるようなことなんてしてないよ。仲だって悪かったし」

「確かに仲が悪い時期はあったよね。でも本当はすごく優しくて心配性で妹想いで…そんなお姉ちゃんがずっと大好きだったし憧れてたの。わたしもお姉ちゃんみたいになりたいって」

「それは裕香がってことだよね?」

「ううん、裕哉の頃もずっとそうだった。お母さんに言われてから気づいたんだけどね。男の自分がお姉ちゃんみたいになりたいなんて思うのはおかしいって自分に言い聞かせて…仲が悪くなってからその気持ちは無意識に封印されてたけど、多分ずっと持ち続けていたんだと思う」

「つまり昔から女になりたかったってこと?」

「んー、厳密にはお姉ちゃんみたいになりたい。かな。だから今はお姉ちゃんと同じ読モになれて本当に嬉しいの」

終始ニコニコしている裕香を見て本心だというのが伝わる。

そしてこの懐かしい感じがなにかわかった。

正確には思い出した。

小さい頃の裕哉のことを。

いつも「お姉ちゃん」と言って懐いていて、舞香もそんな裕哉が大好きだった。

今の裕香はあの頃の裕哉と同じ。

部屋を出ていく前のときはそれに気づけなかった。

もしあのときそれに気づいていたら、

ひょっとしたら裕哉は裕香になっていなかったかもしれない。

わたしが裕哉の人生を狂わせた…

一気に罪悪感がこみ上げてきて舞香は泣いていた。

「裕哉、ごめん!わたしがもっと早く気づいていれば…」

「え、なにが?どうしたの?」

突然泣き出した舞香に裕香は驚いた。

「わたしが裕哉の人生を狂わせた…ごめん、ごめんね…」

すると裕香はそっと舞香を抱きしめた。

「狂わせてなんかいないよ。今の姿が本当のわたしだから。お姉ちゃんがいたから本当のわたしになれたんだよ。だから謝らないで」

「ゆう…や…」

「違う、裕香だよ」

もらい泣きか、いつの間にか裕香も涙を流していた。

もう迷わない。

この子は裕香。

昔から本当は大好きだったわたしの妹。

「そうだったね。裕香、これから仲良くしようね」

「うん、お姉ちゃん」

離れて裕香の顔を見ると涙でメイクが崩れていた。

「裕香、顔がひどいことになってる」

「お姉ちゃんだって」

そういって2人で笑いあった。

あれだけ疎遠な時期があり、久々に再開したら弟から妹になったというのに

2人はすぐに仲良くなった。

なんだかんだいって、本当にお互い大好きだったんだなと再認識した。

「メイク落とすついでにお風呂入ってくる」

「だったら一緒に入ろ」

「へ?」

「女同士なんでしょ、それに姉妹なんだし」

「い、いいけど…」

裕香は少し恥ずかしそうだ。

多分、いや間違いなく女になってから、同性と一緒にお風呂など入っていないだろう。

つまり裸を見られるのは初めてということか。

だが、舞香はそんなことよりも別の目的があった。

裕香の身体がどんなふうに変わったのか、ちゃんと見てみたい。

これは完全に興味本位だ。

裕香が着ている服を脱いで裸になる。

後ろ姿を見る限りは女性にしか見えない。

女性特有の丸みを帯びていて、お尻も小ぶりだが丸いきれいなお尻だ。

手術?これは女性ホルモンの影響なのかな?

「お姉ちゃん脱がないの?」

「あっ」

舞香も慌てて脱いで裸になる。

浴室に入ると、裕香が少し恥ずかしそうに前を隠していた。

手が邪魔だな。

「裕香、身体洗ってあげるから手をどけてよ」

「う、うん…」

モジモジしながら手をどけるとまず胸が露になった。

乳首は少し小さいが普通に女性の胸だ。

Cくらいかな、下はどうなんだろう。

手術をしたときに剃ったのか、毛は少し生えている程度だったが

男性器の面影はまったくない。

つまり女性の股間と一緒ということ。

かぜん興味が湧いてくる。

とりあえずボディスポンジで裕香の身体を洗っていく。

胸は柔らかいのかな?

どさくさ紛れに揉んでみた。

「ちょ、お姉ちゃん!」

「ごめんごめん、柔らかいのか気になって」

「もう…で、どうだった?」

「普通に柔らかい。女の子の胸と同じだった」

それを聞いて少しホッとした表情を見せた。

やはり多少は身体に対して不安があったのかも。

そうなると是が非でもチェックしたい場所がある。

「裕香、あそこ見せてよ」

「は?何言ってるの!嫌だよ」

「だって裕香の女の子の部分見てみたいんだもん」

「そんなの姉妹でも見せないじゃん」

さすがに嫌がるか、そうだよね。

でも奥の手がある。

舞香は心の中でニヤリとした。

「裕香さ、手術して女性になったけど正直本当に女性に見えるか不安があるでしょ」

裕香がドキッとした表情に変わる。

「そりゃ不安だよね。特にあそこなんてちゃんと見ることないもんね。とりあえず全体的には女性にしか見えないよ。女湯とか入っても全然問題ない。あとは裕香の大事なところだけ確認させて。これは裕香が自信を持つために必要なことなんだよ」

そういうと、ややあってから裕香が「わかった」と呟き、股を広げた。

そのときの裕香の顔は真っ赤だったが、舞香はその表情には目もくれず

裕香の大事なところを見入っていた。

へー、これが裕香のあそこかぁ…最近の手術ってすごいんだなぁ。

「ど、どう?」

「うん、見た目も普通に女の子だよ。完璧!」

舞香は満足して終わりにしようとした。

ところが

「お姉ちゃんの見せてよ…」

「は?なんで?」

「わたし、以前裕香だったとき、自分のちゃんと見なかったから…本当に同じか確認したい」

「わたしが確認したから大丈夫だよ!」

「自分の目で確認しないと安心できないよ…大事な部分だもん」

まさかこうなるとは思わなかった。

仕方ない…自分で掘った墓穴だ。

舞香は股を広げ、それを裕香がジッと見ている。

何やってるんだ、わたし…妹に股広げて…

彼氏にだってこんなじっくり見られたことないよ。

急に恥ずかしさがこみ上げてくる。

「もういいでしょ」

股を閉じようとすると「待って」と言われた。

鏡を持って裕香も股を開いていた。

どうやら自分のと見比べているようだ。

ああ、裕香は本当に確認したかったんだ。

そう思うと恥ずかしさが薄れていき、姉の表情に変わった。

「どう?」

「同じかな…ちょっと違う気もするけど」

「そりゃそうだよ。いくら女性だってみんな同じ形してるわけじゃないし」

そういいながら股を閉じる。

つられるように裕香も股を閉じた。

「だから安心して、裕香の大事なところもちゃんと女の子だったよ」

「うん…ありがとう」

裕香の顔が安堵の表情に変わる。

これで本当に安心したんだなと思った。

安心してからの裕香は、お風呂に入る前と同じ感じだった。

そんな裕香を見ながら舞香は考えた。

多分、裕香と一緒なら楽しいだろうな。

「ねえ、裕香」

「ん?」

「一緒に住もうか」

「うん、そのつもりだった」

考えてることは同じだったか。

そして5日後、裕香は舞香のところに越してきて姉妹での生活が始まった。

これでもうほとんど以前と同じに戻ったことになる。

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