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Butterfly  作者: 姫
19/45

疑問

目を覚まして時計を見ると、朝の9時だった。

半分寝ぼけているが、起きたらまずはスマホを見る癖がついているのでチェック。

すると裕哉からLINEが届いていた。


ウソつき!全然違うじゃん


一瞬、なんのことかと思ったが、自分で玲衣のことを嘘ついたのを思い出し、

笑いがこみ上げてきた。

「裕香ったら、まんまと引っかかるんだもん。さてと…」

布団から出て、軽く伸びをした。

明日の夜まで裕哉がいないので、時間はたっぷりある。

ひとまずコーヒーを飲もう。

ケトルでお湯を沸かし、ドリップをセットしてからお湯を注ぐ。

すぐにコーヒーのいい香りが漂ってきた。

しかし、ブラックは得意じゃないのでミルクを入れる。

砂糖は無駄なカロリーなので入れない。

これが舞香がいつも飲むコーヒーだ。

ふーっと息を吹きかけてから一口飲む。

ミルクのほんのりした甘みとコーヒーの苦みが口いっぱいに広がっていく。

ゴクリと小さな音を立ててから、マグカップをテーブルに置いた。

一息ついたところで、やっと考え事に入る。

舞香はずっと気になっていたことがあった。

それは裕哉の急速な変化だ。

元々男だったというのは、裕哉と舞香しか知らない。

なぜなら、ここは裕哉が裕香という女の子だった世界だから。

どうしてこうなったのかはわからないが、紛れもない現実ということだけは理解していた。

そんな裕哉は、身体こそ女になったものの中味は以前の裕哉のままだった。

物事の考え方、オシャレに興味なし、無趣味。

裕香もそんな感じの女の子だった。

まさに裕哉が女だったら…というのがきれいにあてはまる。

ところが、今の裕哉はかなり変わった。

舞香が強要したのもあるが、いつの間にかそれに順応して、

今はほとんど普通の女の子になっている。

裕哉だったころの面影を感じることがないくらいに。

そんなスムーズに変わっていくものだろうか。

この謎について、今日と明日で調べる予定だ。

まずはスマホで、男が女になるという非現実的なことを調べてみた。

すると、出てきたのは漫画や小説で男が女になって…という話ばかり。

非現実的は話だから、こういうものしか出てこなくて当然だろう。

正直、まったく参考にならなかったのでサイトをすぐに閉じた。

「わかるところから考えていったほうがよさそうかな」

今の裕哉はオシャレが好きな女の子。

けど、元々の裕哉も裕香もオシャレには無頓着だった。

女の子でも興味がない子はたくさんいる。

最初の頃の裕香の格好は、舞香からすると目も当てられないくらい酷いものだった。

その裕香をみたとき、奈緒美も怪訝な顔をしたことは記憶として鮮明に残っている。

これも強要したのは間違いないが、ここまで自ら楽しむようになったのはなぜだろう?

それともう一つ。

いつの間にか舞香が裕哉と仲良くなっていたこと。

あんなに仲が悪かったはずなのに、今の裕哉は嫌いじゃない。

むしろ、大事な妹で、可愛くてしかたない。

まるで子供の頃のように。

舞香がそう思える理由はわかる。

同じ女になったし、舞香の望んでいたオシャレな妹にもなった。

まだ少しひねくれているところもあるけど、舞香を慕っているもわかる。

だから今の裕哉は好きだ。

しかし、裕哉のこの心境の変化はなんなんだろう。

笑顔を浮かべている今の裕哉が頭に浮かび上がる。

「お姉ちゃん…か」

昔は当たり前のようにそう呼んでたんだなぁ。

舞香は立ち上がった。

「気になりだしたら止まらない性格なんだよね」

裕香の過去を調べるには、あの場所へ行くしかない。

舞香は荷物をもって家を出た。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 裕香の過去を調べるには、あの場所へ行くしかない。 これは続きの気になる展開を出してきましたね。 [一言] 漫画化したらもっと面白くなりそう
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