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Butterfly  作者: 姫
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舞香と裕哉

ご無沙汰しております。

久しぶりすぎて忘れられてるかもしれませんね(笑)。

この作品は4年ほど前に半分くらい書いて、放置していたものになります。

最近まったく小説を書いてなかったのですが、久々に書こうと思って

新しい作品を書きつつ、書き途中のものを読み直していたら、

これを完結させたくなったので、一気に書き上げました。

4年前にイメージしていた結末とかなり変わってしまいましたが(笑)。

また、先に予告しておきますけど、この作品は2部構成になっています。

そこそこの長さなので、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。



3月中旬というのに、気温は20度を超えていた。

まさに春といった感じだ。

春休みということもあり、街中は若い人たちで溢れている。

大学3年生になったばかりの君川舞香も春休みということで、友達の萌衣と聖菜と3人で

買い物にきていた。

萌衣がトップスを手に取り、舞香に聞いてくる。

「これどうかな?ちょっと子どもっぽい?」

舞香は右手を顎に当てて考える。

確かに10代くらいの子が着るようなデザインだ。

でも本人の萌衣は気に入っている様子。

他の服とうまく組み合わせられないかな。

店内を少し見て、グレーのカーディガンを見つけたのでそれを持ってきて萌衣に手渡した。

「これを羽織れば大丈夫だと思うよ」

「ホント?やっぱり舞香に聞いて正解だった」

そういうと、聖菜も「うんうん」と頷いてる。

舞香は「LaLa」という20代前半の女性に人気の読者モデルをやっているので、

よく萌衣や聖菜に買い物に付き合わされていた。

だが、読者モデルをやっている舞香も買い物は大好きなので、

喜んで付き合っている。

それに着こなしなどをアドバイスするのは、本人としても気分がいい。

とにかく舞香はオシャレが大好きだった。

このあと聖菜も服を買い、3人で歩いていると正面から20歳くらいの男性が歩いてきた。

シワシワのシャツにチノパン、ボサボサな髪の毛に黒いリュックを背負っている。

この男性を見て舞香は思わず顔が引きつってしまった。

なぜここで出くわす…お願いだからスルーして!!

心からそう叫んだが、男性は舞香の顔を見て反応していた。

うわー…最悪。

舞香が顔をそらし、無視をしようとしたが、男性は平然と話しかけてくる。

「鍵預かってるから勝手に入るぞ」

それだけ言って男性は去っていった。

「舞香…鍵預かってるって、まさか彼氏?」

「違う!弟なの…」

もう最悪!バレたくなかったのに、まったく!!

舞香は裕哉が大嫌いだった。

まったくオシャレに無頓着な弟が大嫌いだった。

読者モデルをやっているオシャレが大好きな舞香にとって、

ハッキリ言えばダサい弟の存在は誰にも知られたくなかった。

それなのに、今日とうとう友達に知られてしまったので、ムカつきといら立ちと

ショックにまみれていた。

「舞香って弟いたんだね」

「一応…ね」

「なんかタイプが全然違うからビックリしちゃった」

お願いだからあのバカの話はもうしないで。

むしろ見たという事実を忘れてほしい。

「それよりさ、このあとどこいく?」

無理矢理話題を変え、裕哉の話を終わらせてショッピングを続けた。


家にはあのバカがいる。

それだけで不愉快になる。

けど数日は我慢するしかない。

舞香は大学のために上京していて、一人暮らしをしていた。

弟の裕哉も今度の4月から東京の大学に行くのだが、まだ部屋が決まっていないため、

決まるまで住ませるように親から言われていた。

もちろん猛反対したが、仕送りをもらっているので、結局は従うしかなかった。

ドアを開け、家の中に入ると裕哉は自分の家のようにテレビを見ながら

リビングでくつろいでいる。

裕哉は舞香をチラッと見て、すぐにテレビのほうに顔を戻した。

舞香はゆっくりと一息ついてからすごい剣幕で睨んで文句を言った。

「あれほどわたしに会っても話しかけるなって言ってるじゃん!なんで話しかけたの!」

これは昔から舞香が言っていることだった。

弟と知られたくないので、高校生になったあたりから

絶対に他人のふりをするように言っていたのだ。

「うるせーな、必要最小限の連絡だよ」

「あのね、わたしはアンタの存在を知られたくないの!モデルやってるのにこんなダサい弟がいるなんて最悪なんだから」

「モデルっていったって読者モデルだろ」

確かに読者モデルだが、モデルには変わりない。

それに舞香はそこそこ人気もあるので、カチンときた。

「裕哉みたいにダサいやつに言われたくない!」

「だって俺は服とか興味ないし」

そう、裕哉はオシャレというものに微塵も興味がなかった。

人によって趣味はそれぞれだが、舞香はその考えが嫌いだった。

「アンタね、そんなんじゃ一生彼女なんてできないよ」

「余計なお世話だ。姉貴だってどうせいないだろ」

「わたしは作らないだけ、アンタと一緒にしないで」

舞香は読者モデルをやっているだけあって、普通にかわいい。

ただ、今は恋愛よりもオシャレが楽しいので、そっちに全力を注いでいた。

「まあなんでもいいや、飯ある?」

「冷蔵庫になんかあるから勝手に食べて」

それを聞いて、裕哉は冷蔵庫へ向かっていった。

はあ…、なんでこんなのが弟なんだろう。

これがせめて妹だったら無理矢理でもオシャレさせるのに。

そんなことを思いながら天井を見上げていた。


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