5,個性的な稼ぎ方
あの時、ゴーレムを起こした大バカ者は団長の前に倒れていた。その全身には呪が彫られている。
「うーん〜。いけませんね〜。これもこれもどれもダメだ」
髪はボサボサ、ビン底メガネの醜悪な男、彼は名をアーベーという。
アーベーは目の前の呪で傷だらけの男に回復薬をかける。すると全身に彫られた文字は瞬く間に消え去った。
「まだ試したい呪は632も有りますからね〜。人を操る呪、完成させてみせますよ〜まあもっとも?」
アーベーはメガネの下の細い目を三角に歪めた。
「これだけ全身を切り刻まれれば、もう逆らおうなんて考えられないでしょうがねぇ」
流石に見ていられない。団長は彼を残してその場を辞した。
アーベーは冷酷で残虐な男だが、その研究は技術革命をもたらすほどに革新的であった。そのために国王に重用され、多大な研究費を受け取ってさらに残虐な実験をし成果をあげる。これがいつまで続くのか。
戦々恐々たる思いだが、団長にとってそれは所詮人ごとであった。
☆
怪しげな集団がいた。彼らは独特の格好をしており、1人の子供をかごめかごめしていた。
「だから言ってるでしょう? 私がこの子の面倒を見ます。粗野な男と効率野郎には任せられないわ」
「んだと腹黒女」
「お前の方がよっぽど粗野だろうがよ」
1時間前のことである。
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「あなたのそれ、便利ね。私もとればよかったわ」
「影渡か? 逆にお前何とったんだよ」
「教えるわけないわ。御愁傷様ね」
「てめ」
処刑場から抜け出した全員は和気藹々?としていた。
「さて、この格好じゃだいぶ目立つな」
「そうね。どこかで変えないと」
「「でも金ないな(いいカモがいないかしら)」」
「「うん?」」
「おいおいお前」
潤は若干引いた目で彼女を見た。
「何よ。無いなら貰う。常識でしょ」
「お前のいう貰うは俺たちの常識とは違ってそうだけどな」
「見てなさい」
☆
1人のカモが来た。
バカなやつだ。たった1人、それも女がこんな路地裏に来るなんて。大方近道をしようとしたんだろうが、それは地獄への近道だぜ。
だが念のためだ。
合図を出す。すると路地の入り口でスタンバっていた仲間が空き缶を落とし大きな音が響く。女は肩を跳ね上がらせ驚いたようだ。よし、トーシロだ。
「な、何よあなた達」
「命が惜しけりゃ金を出しな。何、金さえいただけりゃ何もしねぇよ」
こういう生き方をしている奴は欲を持ってはダメだ。もう手は泥にまみれちまってる。ならもうとことんまで地べたを這いずり回り水溜りの水を飲むように必死で生きるのみだ。
「4か。本当にバカね」
「あん?」
空気が変わった?
「お前らっ、撤退だ!」
用心に越したこたぁねぇ。
だが、
「あら中々な好判断よ。でも、相手が悪かったわね」
迫る女の手刀に意識を刈り取られる。本当に、相手が悪かった……
のした相手の財布からありったけの硬貨を取り出す。
「……何よ。しけてるわね」
貨幣の価値がわからないから何とも言えないがちまっこい銅貨が12枚、普通サイズの銅貨が3枚、少し大ぶりの銅貨が1枚集まっただけだ。銅というのがなんとも。
「終わったか」
「ええ。あの子は?」
「幸のやつと向こうで遊んでる」
こんな場面は見せられないからな。と呆れ混じりの視線を潤は彼女に向けた。
「それにしても、王族だなんて闇の深そうな立場にいながらどうしてあそこまで純粋なのかしらね」
「事情は知らないが、あの腐れ王は徹底的なまでにユーキに流れる情報をカットしていた。その影響だろ」
「だけど普通そんな環境にいたら人としての倫理観なんて得られないでしょう? あの子を見る限り幼稚って感じじゃないわ」
「さあな。難しいことはわかんねえよただ、」
一つ確信できるのは。
「やっぱお前のいう貰うは俺たちの常識とは違うな」
「黙りなさい」
「へーへー」
なんとも、濃いメンツが揃っちまったもんだぜ。
☆
「ホントお前何やってんだ?」
「見て分からないか」
幸の元に帰る途中。壁と熱烈に愛し合ってる男がいた。これには暗殺女も引き気味だ。
「わかんねぇよ」
「壁抜けだ。まあ見てろ」
放っておきましょうと袖を引かれたが、その矢先のことだ。
ズズッ。
「「はあ?」」
ズズズズズズッ。
男は壁の中に吸い込まれてしまった。
そしてすぐに戻って来た。手にコインが大量に入った小袋を携えて。
「こっちのが効率がいいだろう?」
そうのたまう男に2人は白い目を向けた。
「それはスキルか?」
「違う。裏ワザだ」
暗殺女は相手にしてられないと視線すら向けない。
「そうか。まあ、行くぞ」
まあどうでもいい。こいつらが濃かろうが変態だろうが、すぐにお別れだからな。
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