戦姫を目指して
戦姫『ヴァルキリー』
ティナ・アルクス...
絶対見つけ出して修行に付き合ってもらおう!
あれ?戦姫を探すのは良いんだけど、
まずどこ行けばいいんだ?
そういえばこの国の地図も貰ってなかった。
どうしよう...
(ヒロム、聞こえますか?)
あ!レイティアじゃないか!
ちょうどいいや!
レイティアならこの国の地図とか持ってるかもしれない!
(レイティア聞こえてるぞ)
(良かったです!それで調子はどうです?
修行頑張ってますか?)
(まだ修行は始めてない)
(何ですと!?じゃあ今は何してるのですか!?)
(この国カスティカ最強の戦姫ティナ・アルクスを探してる。戦姫に修行を手伝ってもらえば、俺は確実に強くなれると思って)
(なるほど!それはいい考えですね。
でも、ヒロムはカスティカの地図を持っているのですか?)
(そう、それなんだよな!
レイティア、お前カスティカの地図とか持ってたりしない?)
(地図は持っていません)
(そうか...お前なら持ってると思ってたんだけどな...)
(私は神なので地図など必要ないのです!
アスタリア全ての地図を覚えたので!)
(そうだよなお前12神だもんな。俺も地図さえあれば、ブレインレベル使ってすぐに覚えられると思うんだけど...)
(その事なんですが、ヒロムにアスタリアの地図の情報をあげていないことを思い出したので、今地図情報をあげるためにテレパシーを送ったのです!)
(お!マジか、それは助かる!)
(それでは、えいっ!)
(おぉ!!)
一瞬にして頭に情報が入ってきた。
(どうです?地図情報は無事届きましたか?)
(バッチリだ!これでアスタリアをどこへでも行ける!)
(良かったです!それでは戦姫を見つけて修行頑張ってくださいね!)
(あぁ、早速戦姫を探してくる!)
よし、地図情報は手に入ったから次はカスティカの人達に戦姫がどこにいるか聞こう!
歩いていると、ある店が目に入った。
あそこで聞いて見るか。
「いらっしゃいませ!本日は何をお求めでしょうか?」
「あぁ、何も買う気はないんだが...」
「なんだよ、客じゃないのか。じゃあさっさと行きな!仕事の邪魔だ」
「戦姫のティナ・アルクスについて聞きたいんだけど」
「ティナ・アルクスだって!?お前さん、戦姫に何か用があるのか?」
「いやぁ、ちょっと会いに行って修行に付き合ってもらおうかなって」
「お前さん、戦姫のこと知らないのか?」
「え?冒険者ランク唯一のSSSで、この国最強の戦姫『ヴァルキリー』だろ?」
「確かにその通りだ。でも、戦姫が人間嫌いということは知ってるか?」
「人間が嫌いなのか。それは知らなかった」
「これは噂なんだが、戦姫は人間嫌いといっても自分より弱い奴だけを嫌っていると聞いたことがある。」
「え?でもこの国で戦姫より強いやつは居ないんだろ?」
「あぁ、だからギルド職員以外とは一言も喋らないだろうな。」
「なるほどな。でも俺は戦姫に俺の修行を手伝って欲しいから何としても会いたいんだ」
「戦姫はやめといた方がいい。会ったとしても無視されるだけだ」
「それでも、一応会ってみたい!
おっさんは戦姫がどこにいるか知ってるのか?」
「お前さん、本当に戦姫に会いに行く気か?」
「あぁ、だから知ってるなら教えてくれ」
「はぁ、わかったよ。お前さんがそこまで言うなら教えてやる。」
「本当か!ありがとう!」
「戦姫はたぶん闘技場にいるだろう。
今は挑戦者を返り討ちにしてる頃だろうな」
「わかった!闘技場だな。」
「どうしても戦姫に話を聞いてもらいたいなら、闘技場で戦記と戦って勝て!
そうすれば戦姫は話を聞いてくれるはずだ」
「でも、この国最強の戦姫なんだろ?俺なんかが勝てるのか?」
「お前は別の所から来たんだろ?俺はこの国にいる奴はほとんど知っているがお前を見たことがない。」
「あぁ、俺は別の場所からきた。
でもそれがどうしたんだ?」
「別の所の奴なら、戦姫に勝てる奴がいるかもしれん。
それに、俺は多くの冒険者を見てきたが、お前はいい目をしている。
かつての覇王の目になんとなく似ている」
「覇王?」
「かつてこの国最強だった男だ、今の戦姫と同等かそれ以上に強かった。
まぁ最強の覇王でも寿命には勝てなかったがな」
「そうか。いろいろ教えてくれてありがとな!どっかで金稼いだら、今度はこの店で何かしら買ってくからな」
「あぁ待ってるぞ!
じゃあいってこい!」
「おう!行ってくる!」
いいおっさんだったな。
戦姫倒して、話聞いてもらって修行に付き合ってもらって強くなったら、お金稼いでなんか買いに行かなきゃな!
とりあえず冒険者になればいいかな!
数分後、俺は闘技場に到着した。
「よし着いたぞ闘技場!早速戦姫に挑戦しに行こう!」
あ、あそこが受付かな!
「ようこそ、闘技場へ!戦姫への挑戦ですか?」
「あぁ、戦姫に挑みたい」
「では冒険者カードの提示をお願いします!」
「冒険者カード?そんなの持ってないぞ?」
「持って居ないのですか!?
申し訳ございません。
闘技場は冒険者専用のバトルスペースなので、冒険者以外は入れないのです」
「何だって!?じゃあ俺はどうすればいい?」
「ギルドで冒険者登録をしてもらえれば、すぐに戦姫に挑戦出来ますよ!」
「わかった、今すぐ登録してくる!」
「あ、冒険者登録するためには試験に合格する必要があるのはご存知ですか?
そしてその試験が行われるのは
朝9時から夜21時の12時間だけなのです。現在の時刻は22時なので、明日じゃないと登録出来ません」
「マジかよ。じゃあ明日また来るよ」
「はい、お待ちしております!」
冒険者登録は明日するとして、
夜だからとりあえず、どっかにテント張って寝るか。
あ!テント壊れてる!
そうか、転移してここについた時に壊れたのか。
じゃあしょうがない。宿を探そう。
あれ?宿を探す?宿ってお金かかるはずだよね?俺お金持ってないぞ!?
どうすれば...
「あ!ギルド行ってアルシャに宿の提供を頼んでみよう!」
俺はギルドに行くことに行くことにした。
「あ!ヒロムくん!」
「おう!アルシャ」
「今までどこいってたの!?」
「いやぁ、いろいろあって、闘技場に戦姫がいることを知って闘技場に行ってたんだ。」
「でもヒロムくん冒険者じゃないから闘技場には入れないはずだよね?」
「そうなんだよ。だから、明日冒険者登録をするとして、宿を探そうとしたけど、俺お金無いしな。一応折りたたみテントは持ってきたんだけど、なんか壊れてて...」
「折りたたみテント?
そんなことより宿が必要だね...」
「どっか無料で泊まれるとこないか?」
「そんな所はないな」
「はぁ、じゃあ野宿するしかないな」
「あ、あのねヒロムくんっ!」
「なんだアルシャ?」
「も、もし私の部屋でも良いなら
と、泊まってもいいよっ///」
「本当か!それは助かる!」
「私の部屋はね。ギルドの上層にあるの」
「へぇ。ギルド職員はギルドの上にに皆住んでるのか。職場が近くて便利だな」
「ここが私の部屋だよ」
「おぉ!広いな!」
アルシャの部屋は結構片付いていて、
1人部屋にしては広かった。
「さぁ、どこでも座っていいよ」
「おう!」
「ちょっと待っててね。私服着替えてくる」
「お、おう...」
「あ!今変な想像したでしょ!?
もし覗いたら部屋から追い出すからね!」
「へ、変な想像してないし!
そ、それに覗きなんてするほどの勇気俺にはないし!」
やべぇ、今俺は自分自身に自分のヘタレさを思い知らせてしまった...
他人に悪口言われるよりショックかもしれない...
数分後...
「お待たせヒロムくん」
「あぁ」
「本当に覗いて来なかったね。ヒロムくんは本当にヘタレなのかな...」
あ、大ダメージだ他人にヘタレと言われる方がきつかった!
「おい!」
「ご、ごめんなさい!ちょっとヒロムくんをからかってみたかっただけなの!」
「俺、そろそろ泣くぞ!?」
「え!?な、泣かないで!
ど、どうしよう!
あ、あ、飴あげるから泣かないでヒロムくん!」
「お前は俺をなんだと思ってる!飴で泣き止むのは子供だけだぞ!
バカにしてるのか!?」
「あ、え、えぇと、じゃあ何をすれば泣き止んでくれるの?」
「別に泣いてないけど...
まぁヨシヨシしてくれたら俺は喜ぶぞ?」
「ヨシヨシ?」
「あぁ、俺の頭を撫でてくれ」
「あ、頭をな、撫でる!?」
「なんだ?撫でてくれないのか?」
「わ、わかったよぉ...」
「こ、これでいいの?」
「あぁ」
「も、もういいかな?」
「あとちょっとだけ」
「う、うん...」
「もういいぞ」
「機嫌は直った?」
「あぁ、ありがと」
「よかったぁ」
「それじゃあ俺は、持ってきた非常食を食べて寝るよ。」
「ヒジョウショク?何それ?」
「ここにはないのか。これだよ」
俺はアルシャに持ってき非常食を見せた。
「何これ、こんなの食べるの!?
ダメだよお腹こわすよ!?」
アルシャは非常食を見ると、俺が食べるのを全力で阻止した。
「これ美味しいんだけどなぁ」
「ダメ!ちゃんとしたものを食べなきゃ。私今から何か作って来るからヒロムくんも一緒に食べて」
「アルシャの手料理か。そりゃ楽しみだな!」
「じゃあ作って来るね」
アルシャは台所に向かったようだ。
アルシャの料理...
どんなのかな?楽しみだ!
数分後アルシャが料理を持って戻って来た。
「おぉ!美味そう!」
「簡単なものだけど...」
「じゃあ早速いただきます!」
「いただきます」
おぉ!見た目で既に分かってはいたが、超美味い!なんていう料理だろう。
「どう...かな?美味しい?」
「めっちゃ美味しい!これなんて料理なんだ?」
「これはカスティカの料理でジョルボワーノっていうの」
「ジョルボワーノか。今度作り方教えてくれよ!」
「うん、いいよ」
俺たちはご飯を食べ終えて、そろそろ寝ることにした。
アルシャは「私の部屋に入っちゃだめだよ!」と何度も言ってきた。
まぁ俺はそんなことする勇気なんてないのだが...
また自分に自分のヘタレさを思い知らせてしまった。
もう寝よ...