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ラスト・エクスカリバー『最後の聖剣』  作者: 神威白夜
由美との別れ
3/18

最後の5分

「広にぃ...」


由美は泣いていた。


「由美、行くな!」


「でも、私が行かないと、広にぃが...」


「俺のことは、どうでもいい!」


パシンッ!


「ぐっ!」


「広にぃ!自分はどうでもいいとか、そんなこと気軽に言わないで!」


「でも、お前だって俺を助けるために...」


「私は広にぃを信じてる!」


「えっ?」


「広にぃが助けに来てくれるって...私を連れ戻しに来てくれるって!」


『信じてる』その言葉を聞いたとき、広夢は昔の出来事を思い出した。


-----------------------思い出------------------------


ある日のことである。


「こっちまで来いよ泣き虫由美!」


「私の鞄返してよ!ぐすんっ。」


「嫌だね!」


「どうして...どうしてこんなことするの!」


「僕のお母さんが言ってたんだ、お前のお父さんは悪い人だって、人殺しなんだって。だからお前も悪い人なんだ!」


「私のお父さんは悪い人じゃないもん!それに...あの時お父さんは私を守るために...」


「うるさい!お前もお前のお父さんも悪い人なんだ!」


「悪くないもん...悪くないもん!」


由美は少年に飛びかかった。


「いってぇ!何しやがる!」


少年は由美蹴飛ばした。


「痛い...痛いよぉ...」


その時


「おい!俺の妹に何してるんだ!やめろ!」


「お兄ちゃん!」


「大丈夫か!由美!」


「うん...」


「お前!俺の妹に怪我させやがって...殴る...1発殴る!」


「ひぃ!?」


少年は広夢の顔を見ると怯えて、逃げてしまった。

その時の広夢は我を忘れていて、その顔は誰もが恐怖する程のものだった。


「まて!」


広夢は少年を追いかけようとしたが、由美がそれを止めた。


「だめ!あの子を殴ったらお兄ちゃん怒られる...」


「俺のことはどうでもいい!あいつを...お前を傷つけたあいつを殴らないと気が済まないんだ!」


「お兄ちゃん!自分のことをどうでもいいなんて言っちゃだめ!」


「由美...でも...」


「私は...お兄ちゃんが私のせいで怒られるのが嫌なの!」


「.....」


「だから、もう誰かを殴ったりしないで...」


「わかったよ...でも」


「でも?」


「俺はこれからずっとお前のそばにいる、お前が虐められそうになったら、俺がお前を守ってやる」


「お兄ちゃん...ありがとう」


「じゃあ帰るぞ」


「うん!お兄ちゃん、今の言葉『信じてる』からね!」


あぁ、あのとき俺は約束したんだ。由美を守るって。


--------------------------------------------------------


「お兄ちゃんが、私を助けに来てくれるって、連れ戻しに来てくれるって!」


「俺は...」


「私はまだあの約束を忘れてないよ!」


「えっ!?」


由美はあの時のことをまだ覚えていた。覚えていてくれたんだ。


「そろそろ5分です。行きますよ」


「うん...」


「待ってくれ!由美!!」


「お兄ちゃん...行ってくるね」


「俺は...俺は絶対にお前を取り返す!そして、また一緒にシチューを食べよう!」


「うん!約束だよ?」


「あぁ、約束だ!」


「それでは転移します」


「バイバイ、お兄ちゃん...」


由美は、泣きながらも必死に笑顔を作っていた。


「転移!」


「由美!!」


カチャッ!ブウォンッ!


由美を含めた4人が門にに吸い込まれ消えていった...






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