69話「現役リア充」
長らくお待たせしてしまい申し訳ございません。
作者は生きてます。
〜第4章のこれまでのあらすじ〜
・謎の刀ゲット
・幸助が金欠でバイト開始
・バイト先にディエス
・おそろしく速いアッパーカット
こ、更新再開します!
「やっほー結城くん、話は聞いてるよ。バイト順調そうだね」
「あ、リサ先輩」
お昼休み、リサ先輩が教室へ訪ねてきた。
「従業員さん達も褒めてたよ、卒業後は是非ともウチで働いて欲しいってさ」
「あはは、考えときます」
昨夜のトラブルの際、初老黒服さんだけは俺が3人を気絶させたことに気づいており、バイトの最中に別室で話合いがあった。怒られたわけでなく、むしろ実力を褒められた上にもっと実力を活かせる役割につけるよう推薦してくれるという話だった。
お陰でバイト2日目にして護衛の中でも実力者だけが就ける支援部隊への配属が決まったのだ。その話はリサ先輩の耳にも入ったのだろう。
ちなみに、支援部隊は時間給とは別に働きに応じたボーナスが貰えるらしいので初老黒服さんには感謝しかない。
「ところでさ、ディエスは元気にしてる?昨日も出勤だったって聞いたんだけど」
「元気そうですよ。昨日も朝まで各店舗回って働いていたみたいです」
「ふーん、そうなんだ」
ん?なぜか意味深な雰囲気を感じる。
「そういえば、私今日は暇だからバイトに少し顔出すね。結城くんの苦労を労いに」
「どうせ目的はリン達でしょ。あんまりお菓子とかあげ過ぎないでくださいね、晩御飯食べれなくなるんで」
紅さんのオフィスビルで働く女性職員さんだけでなく、リサ先輩もリンとクロとシロの虜になっている。昨日もバイトが終わってクロ達を迎えに行くと、お菓子やらキャットフードやら鳥用の餌やら沢山の貢ぎ物を持たせていた。
おやつ代が浮くのは有り難いけど、ありすぎても困る。
「それじゃ、また後でねー!」
「はいはい」
リサ先輩はそう言い残し、颯爽と自分の教室へ帰っていった。
「グギギギギ……」
「た、滝川……」
振り向くとイチゴ牛乳のストローを噛み締めながら滝川が血の涙を流しそうな目でこちらを見ていた。
「そのイチゴ牛乳、一階の自販機のやつか。美味しいよね」
「うん美味しいね。じゃねーよ!水上姉妹や月野姉妹やアウルちゃんに加えてリサ先輩まで、なんで幸助ばっかり青春を謳歌してるんだ!どう思いますか石田さん!?」
「いい事じゃないか、彼女がいると楽しいぞ」
「はっ!こいつのほうがリア充だった!」
滝川は忘れていたようだが、石田は大学生の彼女がいる現役リア充だ。
「うおおおおおお!彼女欲しいいいいいい!」
行き場を失った滝川の鬱憤は悲痛な叫びとなって教室内に響き渡った。聞いている女子は全員ドン引きだ。
滝川に春が来るのはまだ先になりそうだな。人の事言えないけど。
「結城さん、ちょっといいですか?」
「ん?ソージか」
今日は来客が多いな。リサ先輩の後はソージが訪ねてきた。
「ボディガードのバイトしてるって本当っすか?」
「あ、うん。そうだけど」
「給料もいらないですし絶対に邪魔にならないようにするんで、俺も付いていくことってできますか?」
「え、それは……」
急にどうしたんだろう?ボディガードの就職体験でもしたいのだろうか?
でも、ソージを連れていくのは絶対に無理だ。急な話だからというわけではなく、ディエスがいるので絶対に会わせるわけにはいかない。異能バトルが巻き起こってしまう。
「いいよ!葛西くんもバイトできるようにお母さんに頼んどくね」
「リサ先輩!?」
「マジですか!ありがとうございます!」
自分の教室へ戻ったはずのリサ先輩が再び現れ、ソージのバイト参加が決まった。
「というか、なぜリサ先輩がここに?」
「教室へ帰ろうと思ったら入れ違いで葛西くんが結城くんの教室に入って行くのが見えたから、面白そうだなーと思って戻ってきたんだよねー。面白い事を嗅ぎつける私の嗅覚からは逃れられないのよ」
こちらとしては全然面白くない。
あれこれと理由をつけて断ろうとしたのだが、2人とも一歩も譲らなかったためソージのバイトへの参加が決定してしまった。
結局、当人同士が合意している事を止めることはできなかったのだ。
「どうしよう……」
ディエスの事を話してソージが納得してくれればいいが、戦いになったら大変だ。その時は全力で止めよう。ウルブーストのかかった四重結界で囲ってしまおう。
「幸助、色々と大変なんだろうけど、それでもお前が羨ましい」
「……」
滝川に肩を叩かれながら、『葛西の相手をするのは大変かもしれないけどそれでもリサ先輩とお近づきになれるなら些細な問題に過ぎないぞリア充』とでも言いたげな表情でそんな事を言われた。
「バイト行きたくねー……」
バイト2日目にして重大な問題が発生しようとしていた。
◇
幸助の家の玄関先にはバイトの時間に合わせて出かける準備をしているクロとシロとリンの姿があった。
「そろそろバイトの時間だな。準備はできているか?」
「カー」
「あ、カギ忘れたー」
カギを取りに部屋へ戻ったリンは、壁にかかっているものと同じキーホルダーのついたカギが足元に落ちている事に気付いた。
「んー……わかった。一緒に行きたいならいいよー」
リンはカギを見ながらそう呟き、足元に落ちていたカギを持って幸助のバイト先へと向かうのだった。
居間に残された鞘。リン以外の全員が、居間に堂々と置かれていた刀の存在をすでに忘れていた。
現実の忙しさやら私用やらに追われて半年ぶりの更新となってしまいました。本当に申し訳ございません。
投稿ボタンがこんなに重くなるとは。
絶対にエタらせませんので、これからもおヒマな時に見ていただけるとありがたいです!(現在の物語の進行率は約6%)
それと!コミカライズの3巻が12月25日から発売となっております!
購入特典は以下の通り!
☆航島先生描き下ろし特別イラスト☆
WonderGOO:雫
とらのあな:リン
アニメイト:潤叶
どれも可愛いです。メイド服良いですね。
☆描き下ろし小説☆
TSUTAYA:趣味もいいけど勉強も
幸助と滝川と石田が昼休みに雑談しているお話です。
今後とも今作を何卒よろしくお願い致します!