一球の悪夢
初めての投稿なので拙い文章ですが。アドバイスや質問などあれば是非よろしくお願いいたします。
感想お待ちしております。
ジリジリと暑さが照りつける
指の感覚も持っていかれそうな暑さだ…
「打てぇ!!今井ィ!!」「いけいけェ!!」
おれはボールを握った。
キャッチャーのサインを見る、インハイに真っすぐ
「さぁ!全国中学野球選手権!ベスト4を決めるのはどちらか!大詰めの7回裏ツーアウト3塁!」
実況も気持ちが高ぶってんなぁ
こっちも最高にハイだけどな…
「3塁ランナーが帰れば!名門の西枚方ボーイズのサヨナラ勝ち!新鋭の京都五条シニアはここを耐えれるか!」
耐えれるか!じゃねぇよ耐えなきゃ負けやろ…
スコアボードを見る、綺麗に0の嵐だ
黄色のライトが2つ 緑色のライトが1つ点いている。
ツーストライクワンボールだ
「シバぁ!落ち着いて投げろよぉ!」
「ツーアウトツーアウト!!」
大丈夫だ。後ろには味方がいる。前にも…
ドンドン!! 胸を大きく叩くキャッチャー
ふぅ…さて…そろそろ投げるか
指の掛かり具合ももう疲れて分かんねーけど…
ブワァッ!! おれは大きく振りかぶった。
ここでいい球投げるのがエースだろが!!
ブゥゥン! 振った腕からボールが離れた瞬間気づいた。
指から抜けたと。
ガシャァァァァァァァァン!!! ボールは後ろネットに叩きつけられた
おい嘘だろ
「宮下ぁ!ホーム突っ込んでこい!!!」
相手バッターが叫んだ
なんでこんなときの一球が…
「シ、シバぁ!ホームのカバー!!!早く!!」
すっぽ抜けんだよ…
ズザサァァァァァァァァ!!
「セ、セーーーフ!!」
「うおっしゃァァァァァァァァ!!!」
ワァァァァァァァァァァァァァ!!
相手チームが生還したランナーに駆け寄っていく。
おれはマウンドから動けなかった。ホームのカバーに行っていても間に合わなかったのはチームの皆が分かっていた。
「ベスト4進出は西枚方ボーイズ!!最後はパスボールでのサヨナラ勝ち!しかし、京都五条ボーイズ エース柴原!素晴らしいピッチングでした。」
確かに7回まで名門の西枚方ボーイズに1失点
でも最後は間違いなく俺のせいだ。ナイスピッチとかはどうでもいい。
「ぐぅぅぅぅ!!」「ヒックヒグッ…うぅ…」「ウワァァァ!」
俺がこのチームメイトを泣かしたんだ。あの一球が…
「…柴原… お前のせいやない…落ち込むな」
キャッチャーの寺戸がそう声を掛けてきた。
「あぁ…」
そんな気のない返事しか俺は返せない
「俺があのボールを取っていたら…」
それ以上なにも言うな、これ以上俺に何も背負わせないでくれ。
しかし、チームメイトの泣き声はまだとまらなかった。
「さぁ…整列だ……」
キャプテンでもある寺戸の言葉で自然と皆が縦に並んでいった。
泣き声は止んだが皆の顔は歪んでいる。
「2-1で西枚方ボーイズの勝利!礼!!」
「ありがとうございましたぁぁぁ!!」
西枚方ボーイズは元気で笑顔に溢れていたが何も思わない何故なら自分の心があの一球の重圧で潰れそうだったからだ…
試合が終わって控室では皆が励ましてくれた。お前は悪くないここまで連れて来てくれたのはお前だから、と
監督も「今回は誰が悪いとかやないチャンスで打てへんかった奴でも最後パスボールした柴原でもない!それをとれんかった寺戸でもない!皆分かってるやろ。」
そう言ってた。皆が確かにそうだと思っていただろう。
柴原は7回まで耐えてくれたと。
だが俺には絶望しかなかった野球に対しての。
野球にもう関わりたくないとさえ思ってしまうほどの絶望だ。
俺が皆の最後の大会を終わらせたのだから…。
そんな気持ちのまま俺は京都に帰った。
しかしもう決めた高校で野球はもういいと。




