02
神様はなんて残酷なのだろう……。希望をうちくだいていきます。昨夜あまりの足の痛さに気を失い、気が付けば、ベッドの中。足は動かない。恐れていたことがついに現実になってしまいました。
もう一度リハビリをする気力はありません。歩ける保証はどこにもないのだから。友達もみんな、すぐにわたしを忘れていく。わたしは一人ぼっちに逆戻り……。
塚本くんだけには、この姿はみられたくなかった。だけど、塚本くんは来てしまった。いつも願いは届かない。励ましてくれる塚本くんの言葉がつらい。一人にしてほしかった。
事故の傷口を見せると、一瞬塚本くんの顔色が変わるのがわかりました。これでよかった。わたしなんか相手にしないで、高校生活を楽しんでほしいから……。
それなのに塚本くんは、わたしに語りかけました。わたしと同じで、本当の両親を知らない。孤独を抱えている。「一緒に受け止めるから」と言ってくれた。わたしは、強い人間じゃない。足が悪くなり一目だってきにして、その反動で明るく振舞っていただけ。涙をながす塚本くん腕に飛び込みたかった。
でも、涙がこぼれそうになるのを必死で抑えながら、その手を払いのけました。これ以上迷惑をかけ、甘えることはできない。塚本くんの負担にはなりたくなかった。学校にいけなくなるわたしのことは、時とともに忘れていく。前の友だちがそうであったように。これでよかった。
結衣が塚本くんのボールを渡してくれた。
『試合を見に来てくれ』とかかれた魔法のボール。
ごめんなさい。応援はいけそうにありません。
わたしの人生はここまで。
足が不自由なぐらいでと怒られそうだけど、わたしは十分がんばったと思う。
わたしより不幸な人はたくさんいる。
でも、幸せな人もたくさんいる。
どうしてわたしだけこんな運命なのだろう……。
考えてもどうしようもないことばかり考えてしまう。
希望がありません。
また一人で、孤独にたえながらリハビリを続けることはできそうもありません。
たすけてください神様……。
また置いてきぼり。
動けないまま年だけとり、高校すら卒業できない。
パパも結衣もわたしがいないほうがきっと幸せ。
限界です。
人生に終止符を打ちます。
こんなわたしをどうか許してください。
どこからおかしくなったのだろう? あんなに幸せだったのに……。
パパ、ママ大好きだよ。
結衣、あなたの本当のお姉さんになりたかった。
林くん、美紀、知美、由美……、みんなせっかく仲良くなれたにごめんなさい。
塚本くん、本当にありがとう。
日記も今日で最後にします。
さようなら。




