表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
tears  作者: T-99
B side2 神崎 舞~心の日記
20/23

01

 足に突然痛みがはしりました。いままでの痛みとどこか違う。病院で精密検査をうけてみましたが、特に問題はみつかりませんでした。「精神的なストレスが原因で、痛みを感じることもあります」担当医の先生が言った言葉が気にかかります。

 結衣は、誕生日以来ますますわたしを避け、口を聞いてくれません。

 大事をとって学校を休むことにしました。担任の山田先生には、風邪ということでパパが連絡してくれました。わたしが学校を休んでも心配してくれる友達はいない。



 塚本くんが私を訪ねてきてくれました。『明日 一緒に学校に行こう』とメッセージの書いたボールを投げいれてくれて……。うれしかった。わたしに勇気をくれる。

 魔法のボールをみていると元気が湧いてくるのを感じます。本当にありがとう。



 塚本くんと一緒に登校して、勉強もするようになって毎日が少しずつ楽しくなってきました。塚本くんは、勉強は苦手と話していましたが、それは、野球のように本気で向き合ったことがないだけ。わたしの話を聞いて、勉強に取り組む姿勢をみていくうちに気がつきました。やればできる人。



 林くんが勉強会に参加して、三人の勉強会は明るいものになりました。勉強一色だけじゃなくて、いい意味での息抜きみたいなものができた気がします。お調子もの印象はあいかわらずですが、わたしにはない、天賦の才能を感じます。吸収力がよく、全てを完璧に理解できる人。真剣に取り組めばなんでもできてしまう。ちょっぴりうらやましく感じます。



 林くんの試験の成績に驚きました。学年一位なんて……。逆にわたしが勉強を教えてもらわないといけなくなりそうです。後、塚本くんには内緒ですが、林くんと携帯の番号とメールアドレスを交換しました。林くんいわく「二人だけの秘密。携帯をもっていない塚本が悪い」だそうです。

 林くんには、腕の傷のことを話ました。わたしが、無意識に腕を隠す仕草に気が付いていたようなので……。



 塚本くんと一緒に始めた勉強会。気が付けば美紀や知美といった友達もできました。わたしが年上で気を使っていたことや足のことなどをいろいろ話していくうちに、それらが雪解け水のように溶けていくのを感じました。

 クラスのみんなと一緒にこれからを過ごしていきたい。修学旅行や文化祭のイベントをこなしていく。想像するだけで心が晴れやかになる。こころに希望が生まれた日でした。



 近頃、気になることがあります。足の調子がよくなりません。痛みはやわらいだのですが、足の感覚が再びなくなってきている気がします。こわい。また歩けなくなったらどうすればいいの? 不安がわたしの心をおしつぶしそうになります。

 6月の空模様と一緒で、心の梅雨もとうぶんあけそうにありません。



 野球の早朝練習が始まって、塚本くんと話す時間がなくなりました。どうしても話がしたくて、野球部の応援練習の合間に塚本くんを待ち伏せしました。久しぶりに話す塚本くんの声は、がらがら声で思わず笑ってしまいました。塚本くんに対する印象が変わりました。依然のような構えたところがなく、優しく話をしてくれる。塚本くんのおかげで友達もできた。明日教室で、わたしから話かけてみよう。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ