第11話:遺物は語る、開祖は「高校生」!? 〜蘇りの魔法と、魔力駆動のアッポーウォッチ〜
【 1. 喋る鉄の板:再生される音声 】
「キンコーン」という軽快な電子音。
そして、妙にノリの良い『アニソン』という音楽。
驚いているオトハの耳に、また信じられない音が聞こえて来た。
「やっほー、聞こえる?」
宝物庫の静寂を切り裂くように、アッポーウォッチの画面から「軽すぎる調子の男の声」が響き渡ったのだ。
『あー、あー。テステス。……お、起動した? これを動かせたってことは、キミ、転生者だね?』
その場にいた全員が凍りついた。
ガジェットは腰を抜かし、キキョウは反射的に杖を構える。
だが、オトハだけはスピーカー部分に吸い寄せられるように耳を寄せ、その「音が出る仕組み」に目を血走らせていた。
【 2. 英雄の正体:高校生・黒田さとる 】
『ぼくの名前は黒田さとる。どこにでもいる普通の日本人さ。高校に行こうと自転車で登校してたらさ、トラックにドカンよ。気づいたらこの世界に転生してたってわけ』
<……やっぱりね。トラック、転生の王道だわ>
サクラが呆れたように、しかし懐かしそうに呟く。
『いいかい。ここは剣と魔法のファンタジー世界だけど、一つだけ言えるのは「現実」だってことだ』
しっかりと言葉が聞こえるのは、オトハだけ。
彼女は時計に耳を近づけて、言葉を追った。
『死ねば本当に死んじゃう。ゲームみたいに生き返らない。……僕は幸い、転生して魔法が使えるようになった。しかもチート級だった。だから、この連合王国を作って、人々が幸せになれる場所を作ってみたんだ』
【 3. 蘇りの魔法と、再会の約束 】
メッセージの声は、少しだけ悪戯っぽく、しかし真剣なトーンに変わる。
『さっき、死んだら終わりって言ったけど、どうも「蘇りの魔法」ってのがどこかにあるらしいんだよね。もしキミがそれを手に入れたら、僕を呼んでよ。もう少しこの世界で遊びたいからさ。……ま、その時までこの時計は貸してあげる。充電は魔力でいけるように改造しといたから。じゃーねー!』
プツッ、と音が切れた。画面には再び、デジタルな時計の数字だけが浮かんでいる。
【 4. オトハの覚醒:未知の技術への挑戦 】
「……黒田、さとる……。今日からアンタはサトルくんって呼ぶわ」
オトハが震える指でウォッチの表面を撫でる。
「サクラさん。この中には、さとるさんの『魂』じゃなくて、『音』が閉じ込められていたんですね? 魔力を波形に変えて保存して……。なんて……なんて変態的で素晴らしい設計なのっ!!」
オトハの萌えが爆発する。
「蘇りの魔法なんてどうでもいいです! 私はこの『板』の中にどうやってあんな膨大な情報を詰め込んだのか、その設計図を暴きたい!!」
<あらら、まあ、オトハじゃそうなるわね。でも、さとるを復活したら、また面白い魔道具の話をきけるんじゃないの?>
「蘇りの魔法、みんなで探しましょう!」
「オトハ、何を探すっていったの?」
オトハは、時計を巡って起こった一連の現象を説明した。
その場にいたキキョウ、カイル、ガジェットには断片的にしか、音声が届いていなかった。
そこで初めて全員が理解した。
「そうですか!オトハさん、いやオトハ様。あなたは我が祖国の開祖様の願いを叶えるために、尽力いただけるのですね。ありがとうございます」
「ありがと、おとは」
「ねぇ、オトハ、本当にそれだけなの?他に何があるの?はっきり言いなさい」
「いやーーーー何だったかしら?」
ボキボキボキ
キキョウが指を鳴らし始める。これが始まるとキキョウが鬼モードになる時だ。
「ひ、ひぇ」
キキョウの後ろで、カイルの小さい悲鳴が漏れる。
ガジェットは死んだふりをした。
「分かりました。サトルくんが蘇ったら一緒に魔道具作るのよ」
「また、あんた、そんなこと」
「えへへ」
【 5. 王子の視線:届かない言葉 】
一方、カイル王子は「蘇りの魔法」という言葉を聞きながら、じっと自分の手を見つめていた。
本当は、キキョウに伝えたいことが山ほどある。
でも、喉の奥で言葉が詰まって出てこない。
長年、心を閉ざしてきた彼にとって、感情を外に出すことは、何よりも高い壁だった。
ガジェットが「開祖様の遺志を継ぐ方々が現れるとは……」と涙ぐんでいる横で、カイルはただ、オトハと話し合うキキョウの横顔を、盗み見るように見つめ続ける。
(いかないで……もっと、おはなし、したい……)
心の中では叫んでいるのに、彼が口にできたのは、震えるような小さな吐息だけだった。
読んでいただき感謝です!
「魔法力ゼロの少女が、歪んだ愛で世界を解体する」
その軌跡を、ぜひ最後まで見届けてください。ご一読ありがとうございます。
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