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1、生きられなかった

人生で初めて小説を書いてみました。

見返してもこの作品が面白くなるのかわからないですが、

頑張ってまずは描き切ろうと思います。

いつになるかはわからないですが・・・

9月4日僕は死んだ。


事故でも他殺でもない。ただの自殺だった。


理由なんて単純で、つまらなくて、平凡な理由、生きることの意味を理由を価値を見出せなかった。


ただそれだけのこと。


未練がないわけではないが、それは僕にとって大した問題じゃない。


未練よりもこのまま死なないことのほうが問題だった。


「両親には申し訳ないことをしたな」


自分の抜け殻を眺めながらそうつぶやく。


幽霊なんて信じていなかったが、今の自分が何よりの証明になるのはなんとも皮肉なことだ。 


 


ふと、周りを見る


「我ながらつまらない部屋だなぁ。」


声にはなれない声が殺風景な部屋に響く。


生前、特に趣味と言っていいほどの趣味が僕にはなかった。


それも、僕にとって生きることをやめるには十分すぎる1つの理由だった。


これと言って趣味もない、興味があることもない、友達とのうわべだけの会話すべてが僕にとっては苦しかった。


だから、やめてしまったのだ。




「さて、特に未練なんてなかったつもりだけど、僕はなぜまだここにいるのだろう。」


こういったオカルトに詳しいわけではないが一般的に死後、幽霊となって徘徊するには


未練なり、理由なりがあると相場が決まっている。


だが、僕には特に思い当たるものがなかった。


「まぁ、いいか。特に考えてもしょうがない。


消えゆくまでに時間があるなら、少しでも未練が持てるように自分が死んだ世界でも見ていくか。」


どのくらいの時間があるか知らないが、すぐに消えないあたり時間があるものとして動いてみるとしよう。




自分の抜け殻を観察していると、1時間後、両親が僕を発見する。


母親は、僕を見てすぐに膝をついてしまう。


その状況にまだ脳が追い付いていないのだろう、その光景を信じられない信じたくないといったそんな悲哀と驚愕に満ちた顔だった。


少しすると脳が理解し、母親は泣き崩れてしまう。


あぁ、僕のために泣いてくれるのかと少しだけ胸が苦しくなった。


母親は、いつも口うるさく僕を叱る。


「あれをやれ」だの「それはするな」だの、うるさいとしか思っていなかった。


今になってようやくわかる、それは僕のためだったのだろうと愛があるから叱るのだと。


生きている間、当たり前のことが僕には理解できなかった。


それが悔しくてうれしくて少し未練となる。




父親の対応は、母と違い迅速かつ合理的ですぐに救急車呼び、そしてすぐに心肺蘇生を試みた。


一縷の望みにかけて、必死だった。


必死に「生きろ」と言葉をかけ、必死に生き返らせようと動き続けた。


僕に生きていてほしかったのかと理解したとき少し後悔した。


父親は、放任主義だった。


僕のやることにほとんど口を出さず、特にかまってくる様子もなかった。


だが、それは僕に興味がなかったわけではないと今理解できた。


父親なりに僕のやることを尊重してくれたのだなと親が構いすぎると子供が嫌がることもわかっていたのだと。


ふと思い出す。子供のころの記憶で一度だけ父親に怒られたことがあったことを。


僕が、母親に危険だから行くなと言われていた川に遊びに行っておぼれかけた時、父がすぐに助けてくれた。


そして、僕を叱った。


あの時、すぐに駆け付けられたのは、僕を心配し、傍らから見守っていてくれていたのだと。


まぁ見守る姿は、周りから見れば少し不審だったろうが。




その時の父の顔を思い出す。


僕を見る顔は、怖くてそれでいて安堵した表情だった。


どうして忘れていたのだろう。


興味がないなんてありえなかった。


そのことを忘れてしまっていた自分が情けなくて、腹が立ち少し未練となる。




自分の未練を少しずつかみしめ、両親のことを眺めていると救急車が到着し、抜け殻は病院へと運ばれていく。


そして、僕は死んだ。




その後、抜け殻は自宅へと運ばれる。


葬式の段取りが決まるのは早く、親戚や交流のあった友人へと訃報を届けることとなった。




葬式の日、見知った顔がいることに気づく。


学校でよく会話をしていた友人だ。


彼の目元は赤くはれており、先ほどまでも泣いていたことが見受けられる。


生前、彼には振り回されたものだと思い出す。


やれ「この本が面白い」だの「このゲームをしよう」だの「ライブを見に行くぞ」だの。


ただ、どれも確かに面白かったのも事実だったから、馬はあったのだろう。




彼は抜け殻に語り掛ける。


「なぁ、なんで俺に一言も言ってくれなかったんだ。


 そんなに苦しかったのか?つらかったのか?


 わかってやれなくてごめんな」


語り掛ける彼の言葉はただ悲哀に満ちた言葉ではなく、苛立ちのようなものも感じた。


「あんなに近くにいたのにわかってやれなくて・・・


 自分が情けないよ・・・


 でもな、いってくれなきゃわからねぇよ・・・」


はっとする。


僕は彼に一言でも自分のことを話したことがあっただろうか。


彼が勧めるものに対する感想は話していた。


だが、僕からなにか彼に語ったことがあっただろうか。


いつも他人に任せてばかりで自分から動いてあげたことなどあっただろうか。


それが、思いつかないあたりないのだろう。




血がつながってもいないのにこんなにも悲しんで僕のことを考えてくれる友人に対し、


僕がしてやれたことはなかったのだろうか。




考えても見つからない。


自分本位で誰しも生きている中で少しでも他人のことを気にかけてやれる彼に


僕はふさわしいと呼べる友人だったのだろうか。


今となってはわからない。


ただ、少しでも自分のことを彼に話しておけばよかったと後悔が募るばかりだった。


そして少しの未練となる。




葬式は終わり抜け殻は、粉々に砕け散っていた。




「やり直したいな。


 両親にありがとうとごめんを伝えればよかったな。


僕の友人にもっと話してやればよかった。


僕はつらいんだ、苦しいんだ、何かが欲しかったんだって。


僕は何でやめてしまったんだろう、あきらめてしまったんだろう。


誰にも何も知らせないで、一人で勝手に絶望して、捨ててしまったんだろう。


・・・やりなおしたいよ。」


悔しくみじめで情けなくて、それでもこの体では泣くことすらできやしない。


この言葉も空虚に消えていく。


誰にも響かない言葉、響かせることができない言葉。


こんな思いをするなら死ななきゃよかった。


そう思ってもどうしようもない。


もうじき僕は、消える。


何も残せず、何もできず、ただただ消えていくのだろうと。




あれから、49日がたった。


家族と友人が僕にお別れを告げる。


この49日間はただただ、むなしく苦しくみじめだった。


それでも、何も残すことなどできはしない。


この体が発する言葉は、言葉にはならないのだから。


それでも、49日を過ぎれば、消えることができるのではないかと思っていた。




しかし、早く消えたいと願っても消えることすらできない。


なぜ消えることができないのか。


わからない。


死んでからもこんなに苦しいとは思わなかった。


何もない空虚な世界から消えたいと願ったのに、それすらかなえることはできなかった。


ここに存在する意味を考える。


なぜここにいるのかと。


ふと思い出す。


「一般的に死後、幽霊となって徘徊するには


未練なり、理由なりがあると相場が決まっている。」


そして、こう言ったことも。


「消えゆくまでに時間があるなら、少しでも未練が持てるように自分が死んだ世界でも見ていくか。」




僕は理解する。


少しだけ積み重ねた未練が僕をここにとどめているのだと。


自己満足で自分を殺し、未練がないだののたまって、自分が死んだ世界を見返すと未練があった。


自業自得。


この言葉に尽きる。




この声が響かない世界で僕はどうやって声を届かせればいい?


僕の姿が見えない世界でどうやって伝えればいい?


ここから消えるためには、何をすればいい?


僕は、何をすればいい?


誰か僕を消してくれ。

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