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別世界の道化師  作者: あかひな
二章
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第二十六幕 道化師と依頼


今回めちゃくちゃ短いです。


前回と一緒にすればよかった。




「依頼?」

「そうじゃ。内容は「断る(わね)」何故じゃ!」


 カトレアはそう言って声をあらげる。なんでって言われてもな・・・。


「「嫌な予感しかしないから」」


 さっきに続いてまたもや藍雛と被る。こういうところを見ると、同一人物って事を再認識できるな。


「第一、あなたはそれより前に我達に言うべき事があるのではないの?」

「・・・済まなかったのじゃ」


 藍雛がそう言うと、カトレアは素直に謝る。意味は分かっているみたいだし、ちゃんと反省もしているようだから俺は許してもいいんだが・・・。

藍雛はニッコリと顔に形だけは天使のような満面の笑みを張り付けて言った。


「何に関して謝っているのか分からないわね。あと、我達とは言ったけれど、我と緋焔とは言わなかったわよね?」


 ・・・完全に楽しんでる。いや、俺もこの状況を見て中々楽しめているから、人の事は言えないんだろうが、藍雛はそれを隠すどころか前面に押し出している。反論しようにも、悪いのはカトレアである為、反論も出来ずに唸るしかない。


「むう、そなた名前は?」

「あら、失礼したわね。霧城 藍雛よ。そこにいる、霧城 緋焔と元同一人物ね」

「元?」


 すると藍雛は天使のような表情をそのままに、真っ黒なオーラを体に纏わせて言った。


「あまり深く詮索しないでちょうだい。・・・一国のお姫様だもの。雰囲気くらいは読めるわよね?」


 すると、カトレアは血色のよかった顔を真っ青に染めて何度もこくこくとうなずく。


「まあ、さっきのは冗談として、その依頼の内容はどんなものなのかしら?」

「受けてくれるのか!?」

「そんなわけないじゃない。ただ、内容によっては気が変わるのかもしれないわね」


 まあ、ほとんどありえないだろうけどな。俺は、藍雛の耳元に顔を寄せて、藍雛にしか聞こえないような声で言った。


「なあ、なんでわざわざ聞くんだよ? 大体、厄介事になるのが異世界補正だろ?」


 すると藍雛は、いつも以上ににっこりと笑って言った。


「きっと、厄介事を受けるのは我ではないし・・・。楽しそうじゃない?」


 いや、全然楽しそうじゃないんだけどな。なんて言ったら、きっとまた面倒なことになりそうだし諦めるとする。


「・・・内緒話は済んだかの?」

「ええ。で、その依頼というのは何なのかしら?」

「うむ、内容はこの街の守護じゃ」

「守護? そんなもの今いる王都騎士団に任せればいいだろ」


 街一つ守れないんじゃあ、何のための騎士団かわからないだろ。しかも、この街には唯一の王女様もいることだし、躍起になって守護に回ると思うんだけどな。すると、カトレアは少しだけ困ったような顔をする。


「むう・・・本来ならそちらに仕事を回したいのじゃが、今回はそういうわけにもいかんのじゃ」

「どういうことかしらね? ファンネル達もいることだし、彼らはこの国の精鋭でしょう? 彼らにすら任せられない仕事を、信頼も何もない人物達に回すなんてとても正気の沙汰とは思えないのだけれど?」


 藍雛も若干イライラしているのか必要以上に毒を吐いている。とはいっても、やはり表情はニコニコとしていて形だけ見れば天使のようだ。あくまでも表情だけ見ていればだが。大切なことなので二回言いました。


「・・・しょうがない。あくまでも守護としたかったのじゃがの」

「やっぱり裏があったのか」


 そもそも、何かを隠して人にものを頼もうなんてこちらとしてはシャレにならないからな。もしもの時は、嫌ではあるが心を読ませてもらっただろうな。まあ、そんなことにならなくてよかった。


「まあ、この街の守護ということに変わりは無いのじゃがの。ただ、ここ最近この街の近辺で多くの龍種が目撃されておるのじゃ」

「龍種なんてこの世界にいたのか」

「いいわね。ペットに欲しいわ」



 龍を想像してカッコイイなーなんて事を考えている俺の横では、似たような事を考えている藍雛がついつい本音をぽろりと漏らしている。俺の目の前に立っているカトレアの表情が、呆れたような若干青ざめているのは気のせいとして、このままでは埒があかないので俺はさっさと話の続きを促す。どっちかというと、龍に関しての話の続きが聞きたいのが本音だけど。


「で、結局内容は街の守護なんだな?」

「う、うむ。ギルドに指名依頼として出しておくつもりじゃ。おそらくランクとしてはAもしくはSになるじゃろう」


 カトレアは若干飛んでいた意識を戻し、気を取り直して説明を続ける。AかSなら今の俺なら余裕しゃくしゃくお茶の子さいさいで成功させる事ができるだろうが、ここでたった一つ問題が浮上する。


「俺のランクはGランクだから、依頼はうけられないんじゃないか? 藍雛に至っては登録すらしてないしな」

「なんじゃと!?」


 俺がそういうと、カトレアはこれ以上ないくらい分かりやすく慌てふためく。


「むう・・・。まさかGランクだったとは完璧に予想外じゃった・・・」


 カトレアはそう呟くと俯いて唸り始める。まあ、明らかに強さとランクが釣り合っていないのだから予想外なのは当然だろう。むしろ、予想されてたら傷付くぞ。


「ねぇ? カトレア?」

「なんじゃ?」


 それまで、ずっと紅茶を飲みながら話していた藍雛が急に椅子から立ち上がり俺の隣に並ぶ。


「今回、問題なのは龍だけなのよね?」

「まあ、他の事は騎士団で片付くから、そうなるかのう」


 すると、藍雛は今までとは違った心の底から楽しそうな笑顔を浮かべてこう言った。


「今回の依頼内容を龍達の討伐もしくは撃退としてくれないかしらね?」

「構わんが・・・それではランクが尚更・・・」

「何の為の権力なのかしら? ランクぐらい、王族権力でいくらでも上げられるでしょう?」


 藍雛はそう言うと呆れたようにため息を付く。対するカトレアは苦虫を噛み潰したような表情をして唸っている。


「しかし・・・それでは他の者に示しがつかぬ」

「じゃあ、我達が先に龍の撃退ないし討伐に行って、その証明をもって依頼の受託、成功とするのはどうかしら? 偶然出会ってしまった魔物はランクは関係無く倒してもいいのだし」


 確かに、それなら示しも何も無いだろう。依頼しようとしていた内容をクリアした者がいただけなのだから。


「確かに、それなら問題はなさそうじゃのう」

「なら、決まりだな。場所は?」


 龍なんて仮想だと思っていた生き物に会えるんだから、今の俺のテンションは急上昇だった。今すぐにでも、見に行きたいくらいだが、流石に格好悪いので落ち着いた様子を装って目的の場所を聞く。


「龍の詳しい場所は分からぬが、この街から北東に向かい1日かからぬ辺りらしい。その辺りは、昔から天龍の巣が通ると言われておる。まあ、あくまでも伝説じゃが」





作者「7万ユニーク突破しました!ありがとうございます。これからも頑張りますのでよろしくお願いします」

エセ「で、今回は?」

作者「反省しまくりです。はい。完全に俺の技量不足です」

エセ「そうやろうな」

作者「はい。もう、頑張ります。いや、今までも頑張ってたけど」


作者は、ご意見、ご感想、誤字脱字報告などなど、いつでもお待ちしています。

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