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別世界の道化師  作者: あかひな
二章
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第二十五幕 道化師と片割れ

祝50万PV&7万ユニーク直前←チガワネ?



 到底、信じる事は出来なかった。しかし、しっかりと筋は通っている。まあ、ミリアンがいる以上それすらも無駄なのかも知れないけれど・・・。

きっと、いくらでも話を切るチャンスはあったはずだ。でも、それをしなかった。俺は俺自身に何故と問い掛ける。所詮、自問自答でこんなことの答えが出るはずなんて無いのに・・・。


「さて、これで我の素性は分かったし、緋焔の過去も戻った事だしこれからよろしく頼むわね」

「・・・・・は?」

「は? とは何よ? 我はあなたなのだから、一緒に居て当然でしょう。魂の半分を捨てて行く人間がどこにいるのよ」

「ここにい―――」

「ここにいる何て言うのは無しよ」

「・・・・・分かったよ」


 ・・・どっちみち、あんな話されて連れていかないなんて真似は出来ないからな。

 俺がそう言うと、藍雛はそう言うのが分かっていたかのように言った。


「それじゃあ、《緋焔の破壊が我に盗られたという事実を破壊》、《我に緋焔と同程度の能力が無いという事実を破壊》」


バキン


 ・・・今のは何だろうか。今まではパキンという、薄いガラスが一枚割れたような音だったのに、今度はそんな生温い音ではなく何枚ものガラスを纏めて全て叩き割ったような音がした。

・・・って、俺の破壊が藍雛に盗られた?


「今、盗ったって言ったか?」

「そうよ。我自身にはなんの能力を持っていなかったから、緋焔に付いていた能力の内の《破壊》をもらったのよ。まあ、その事実も破壊したから今は元通りよ」


 ・・・能力盗るって何なんだ一体。しかも、《破壊》だし。


「元々は我の体だもの、少しくらい自由にしたっていいじゃない」

「・・・・はぁ」


 なんか・・・苦労が増えそうだな・・・。




「そう言えば、どうなったのかしらね」

「どうなったって何が?」


 唐突に言われても、何が何だか分からないから困るんだが。


「何って・・・あなたの処遇に決まってるじゃない」

「処遇?」

「そこから説明なのね・・・」


 藍雛はそう言うと腰下まである綺麗な銀髪をゴムで纏めて、ポニーテールにして椅子に座り、俺にも座るように催促する。

椅子は元々、この部屋に備え付けられていた物のようだ。

 しかし、こうやって落ち着いてよく見ると藍雛は可愛い。普通よりも可愛い顔をしていて、銀髪とあいまってかなりナイスだ。と、ここまで考えて思ったのだがこの場合はナルシストになるのだろうか?

 と、そんな事を考えながら椅子に座ると、藍雛が目を細めてジッと俺を見つめる。


「・・・どうしたよ」

「いえ、今緋焔から邪な視線を感じた気がしたから・・・」

「気のせいだろ」

「・・・そうね。自分をエロい目で見るなんて事はしないわよね。いくら遺伝子情報が違うとしても、倫理的にはアウトよね」


 藍雛はジッと俺を見た後に、ニヤニヤと笑いながらそう言う。てか、絶対分かって言ってるだろ。



「・・・って、遺伝子情報が違う?」

「そうよ。緋焔が我の体を創った時、同一人物と知らなかったから、別人として体が創られたのよ」

「という事は?」

「魂の質は同じようなものだけれど、体が違うから子を成す事も出来るわね」

「ふーん。そうなの・・・って、おい!」


 危うくスルーしてしまう所だった。・・・藍雛はまたクスクスと笑っているが。


「・・・話が逸れてる。で、処遇云々ってどういう事だ」

「あら、そうだったわね。呼ばれて謁見の間に着いた所までは覚えているわね?」

「鮮明に」


 というか、この世界に着いてからの出来事は大体覚えてるけどな。


「あなたはそこで、適当に能力を使えと言われて迷っていたのだけれど、周りの兵士があなた達の事を馬鹿にしたのであなたがキレて鎖でがんじがらめにしたのよ。それを見た王女があなたを軍にいれようとしたのよ」

「はいはい」


 うん、まあそれくらいなら予想できるな。兵士だろうと何だろうと、多分やるだろう。


「で、拒否したあなたを入れる為に王女がフィアとマウを人質にとろうとしたのでキレて城壁を砂に変えたのよ」

「・・・マジで? 本気と書いてマジと読むくらいマジで?」

「ええ、大まじめよ。そのあと、フィアに抱き着かれて暴走は止まったけれど、その後すぐに気絶してしまったのよ。謁見の間に放っておく訳にもいかないから、とりあえず城の一室を借りたのよ。今頃、街の大工は大忙しね」


 藍雛が手を組んで、その上に顎を乗せて楽しそうに話す。

というか、城壁を全部砂にね・・・。

攻められたりしないのかという疑問を、頭の片隅に押しやって今後どうするかを考える。


 まず、最初に思い付くのは国云々をシカトして逃亡。・・・ダメだな。単独なら誰にもバレずに逃げる自信はあるが、マウやフィア達を連れて逃げるとなると厳しいものがある。

次に思い付くのは直接会ってどうにか謝る事。しかし、これも謁見中に何を言ったのか覚えてないし、そもそも城壁ぶっこわすようなやつを二度も会わせることも無いだろう。


 ・・・ヤバいな。本格的にどうしよう。ここまで何も案が思い付かないと思わなかった。


「方法が無いわけではないのだけどね」

「何かあるのか?」


 ぶっちゃけ、どうにかなるなら何でもいい気がして来た。


「一つは、あの王女の引き入れようとする気持ちを破壊するという方法ね」

「それはどっかというと、人の心を操るタイプじゃないか? そもそもやりたくない」

「そう言うと思ったわ。ちなみに、心を操るのは幻惑よ」

「あれ? 幻惑ってそんな効果だったのか?」


 確か、幻惑はフィアがよく知らなかったから説明されなかったんだよな。


「ええ、幻惑は人というか、生物全ての心を操る類よ。まあ、一口に幻惑といっても様々な種類があるけれど」

「へー。で、もう一つの案は?」

「あら、そっけないわね。まあいいわ。もう一つの案は・・・」


 藍雛はそこまで言うと言葉を切り、真剣そのものな表情で言った。


「あのお姫様をあなたに惚れさせるとかね」


 ・・・・・・・。

って、違うだろ!あまりにも真剣な雰囲気で、自然に受け入れそうになったじゃないか!


「いや無いだろ! そもそも、真面目な表情で言う台詞じゃ無い!」

「つまらないわね。一応、ちゃんと計画にはなっているのに」

「ダメだろ!」


 全く、藍雛は楽しそうにしていると思えば、いい事言ったりするくせに、真面目な時にはふざけるし何なんだよ、一体。


「さて、冗談はこれくらいにして、どうするの? 我はあくまでも、緋焔が決めたなら着いていくつもりよ。ある程度限度はあるけれど」

「どうするって言ってもな・・・」


 やっぱり、可能性があるとしたら直接会って交渉する事しか思い付かない。かと言って、簡単に会わせてもらえるとも思えないんだがな・・・。


 と、どこからか紅茶を取り出してゆったりと飲んでいる藍雛を無視して、どうにかいい案が無いかと必死に頭を回転させていると、急に外が慌ただしくなる。


「ん? なん―――」


バタン!


「匿うのじゃ!」

「おぶぅっ!」


 扉を開けようとすぐ近くに立ち、ドアの取っ手に手をかけた瞬間にドアが開き、腹から胸の辺りにかけて何かが衝動する。・・・しかも鳩尾に入ったせいで無駄に痛ぇし、変な呻き声が出るし。

俺はその張本人に、ちょっとだけキツイ罰を与えようと痛みを堪えながら下を向く。


「お姫様?!」

「静かにするのじゃ!」


 俺が驚きのあまり大声を出すと、お姫様の手によって口を塞がれてしまった。そんな状況でも、藍雛はこちらを眺めてニヤニヤと笑いながら、紅茶を飲んでいる。てか、助けろよ。しばらくすると、またドアの外が騒がしくなり、廊下を沢山の人が走り回る音がする。


「隊長こっちにはいません!」

「他の場所を探せ! ちくしょう、あのお転婆姫は何処行った!」

「例の少年の所では!?」

「あのお転婆姫でも、さすがに病人の所には行かんだろ。他を探せ!」


 声から察するに、多分、こいつを探してるのはファンネルだろう。俺としては、さっさとファンネルに知らせてやりたいんだが、口を塞がれているせいで全く喋れない。

2、3分ほど経つと慌ただしい足音も聞こえなくなり、藍雛と話していた間のように静かになる。そこでやっと、お姫様が俺の口から手を離す。


「ふぅ・・・。いきなり済まなかったのう」

「いや、気にするなって。さてと・・・」


 俺は一呼吸置いて、大きく息を吸う。そして・・・。


「お姫様が「ちょっ! 止めるのじゃ!」なんでだよ」


 俺は叫ぶのを止めると、わざとらしく舌打ちをする。が、お姫様には結構効いたらしい。

お姫様はたじろぐと、俺と少し距離をとる。

自分でやった事とはいえ、若干ショックだったりする。


「で、お姫様が一体何の用かしら?」


 それまで、ゆっくりと紅茶を飲んでいた藍雛がお姫様を睨み付けながら言う。言葉にはし辛いが、そこには言い知れない迫力というかプレッシャーがあった。


「う、うむ。まず、自己紹介をさせてもらう。妾の名は、カトレア・リア・アーデイベルグじゃ。知っての通り、この国、アーデイベルグの第一王女じゃ。第一とは言っても、他に王子も王女もおらんがの」

「この国はアーデイベルグっていったのか、知らなかった」


 しょうがないよね?俺、この国の事情は聞いたけど、名前はめんどくさいから聞かなかったし。


「そ、そうかの・・・」


 俺がそう言うと、カトレアは分かりやすく落ち込む。


「いや、そうじゃなくてこの部屋に来た用事は?さっきファンネル達も言ってたけど、何の理由も無く病人の部屋になんて来ないだろ」

「ああ、そうじゃったの」


 いつまでもカトレアを落ち込ませているわけには行かないので、俺はさっさと話の続きを促す。決してめんどくさいわけじゃ無いんだZE。・・・すみません調子に乗りました。


「実はお主に依頼があっての」





作者「50万PVありがとうございます!」

エセ「まさかこんなにいくとは思わんかったで」

作者「いっその事順位二桁目指しt…ごめんなさい調子に乗りました」

エセ「ホントや」

作者「でも、頑張るのは本当」

エセ「下手なんやから頑張らんとな」

作者「感想とかくれるともっとやる気に(殴」


作者はご意見、ご感想、誤字脱字報告その他諸々常時受け付けます!

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