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別世界の道化師  作者: あかひな
一章
16/94

第十五幕 道化師と魔法

 ただ今、俺達は村からちょっと離れた森の中にいます。


「それじゃあ、まず魔法の大まかな説明をするわよ」

「「は〜い」」


 狙ったわけでもなくマウと声が揃った。

今日はもしかしたら、いい事があるのかも知れない。


「まず、魔法は基本属性として火、風、水、土の4つがあるわ」

「フムフム」

「次に、その上級属性として、光、闇があり、最高属性として創造、次元、時空、幻惑、破壊の5つ。

人にもよるけど、使える属性は大体元から決まっていて」

「は〜い、質問です。フィア先生」


 俺は手を挙げて言う。たまにはノリも大事だよ。


「はい、何ですか緋焔くん」


 俺は意気揚々とノッてきたフィアに質問する。


「時空とか創造とかは分かるんだけど、幻惑って?」

「それは――」


 フィアはそこで、一呼吸間を置いて言う。


「知らない」

「今の間は!?」


 間に意味はあったの!?


「意味は無いわ。ただ、やってみたかっただけ」

「…………」

「じゃあ、次に魔法の使い方」


 やっと本題に入ったかな。俺にとっては、魔法が今のところ二番目の目的だし。

マウも、隣で目を光らせている。見た目通りって言うと元が違うみたいだけど、年相応に見えてとても楽しそうだ。


「基本、魔法は発動させるまでに三つの行程があるの」

「それって私でもできる?」

「そればっかりはやってみないと分からないのよ……」

「で、使い方は?」

「まず、一つ目。自分の中にある魔力の流れを自覚する事。一番初歩的なことで、一番難しいのよ。ここで挫折する人も少なくないわ。とりあえず、魔力を体の中で動かしてみて」


 魔力の流れって言うと……あの神様(バカ)が言ってたあれか?俺は、自分の器の中で力を動かしてみる。感覚的には体の中をぬるいお湯が流れてると考えれば分かりやすいと思う。しかし……、なかなか動きにくい。

 動いてるのは分かるんだけど、自分の思った通りの勢いで動いて行かない。


「出来た!」


 横では、マウが嬉しそうに飛び跳ねている。俺はその横で、魔力を動かそうと必死になってる。


「マウは出来たみたいね。……緋焔のほうは苦労してるみたいだけど」


 フィアがニヤニヤしながら俺を見てくる。俺だって……と、意気込んでみるが。やっぱり思い通りにいかない。


「じゃあ、一つコツを教えてあげる」

「コツ?」

「緋焔は最初から勢いをつけて動かそうとするからダメなのよ。最初はゆっくりと動かして、徐々に勢いをつけていく感じよ」


 俺は、言われたとおりに最初はゆっくりと動かす。すると、さっきよりも遅いが確実に思い通りに動いている。俺は、そこを基本にして徐々に勢いをつけていく。

 すると、さっきまでよりもかなり早く動く。体内に、ものすごい勢いの川があると考えればいい。


「緋焔も出来たみたいね。ここでつまずく人結構多いんだけど……」

「フィア! そんなのいいから早く次に行こうよ!」


 マウが目を輝かせながらフィアの腕を振っている。すっごく微笑ましい光景だな。俺も混ざりたいとか思ったりしたけど、なにやら犯罪臭がするので諦める。


「はいはい。次は、詠唱。詠唱の仕方は簡単。《形状》と《発動場所》形状のほうは言わなくてもわかるわね。発動場所は……手に発動させたいなら《我が手に》とか。まあ、その辺りはオリジナルで大丈夫よ」

「威力は?」


 俺は、ふと気になった事を聞いた。形状とかで威力は変わるだろうが根本的な威力はそうではないだろう。


「威力は、基本的に魔力の量で変わるわ。魔力は多ければ多いほど威力は強くなるの」

「ふ〜ん?」

「……イマイチ分かってないみたいね。でも、とりあえずこれだけ分かってれば魔法は使えるわね」


 そう言うとフィアは自分の掌にソフトボールサイズの火球が生み出した。


「じゃあ、属性の適正を調べるためにこれぐらいの球体を作って。威力は適当でいいわ。あとはその時にまた説明するわ」


 フィアはそう言うと、炎を適当に放り投げると、炎は地面につく前に消えてしまった。

 俺は、魔力を掌に集めて火をイメージする。属性は何でもいいのだが何となく炎にする。すると、掌の上にフィアのと同じくらいの火球ができる。


「おお~。結構簡単に出来たな」

「……今あんた詠唱した?」

「いや、してないな。忘れてた」

「いきなり無詠唱って……。いや、この前のことを考えれば当然か……」


 なにやらいろいろと言われているが、もうこの際気にしない。というか、気にしてたら体が持たない。


「で、これどうするんだ?」

「魔力の供給を止めればいいのよ。今は勝手に魔力を持っていかれてる状態だけれどそれを止めるようにすればいいわ」


 俺は、言われた通り魔力が勝手に流れていくのを止める。すると、掌にあった火は勝手に消えた。


「出来た!」


 俺の横では、マウが手に野球ボールサイズの水の球を作っていた。が。


 パァン


 それは、小気味のいい音を立てて割れてしまった。


「ああっ!」

「ああ、ごめん。マウは魔力が自然に供給される訳じゃあないから今のに魔力を送り続けなきゃだめなの。緋焔は異常に魔力が多いから、そんなことをしなくてもいいけど」



 マウはそう言われると、もう一度あの水の球を作り始めた。

 俺は暇になったので、他にも属性の適正が無いか確かめるため他の球も作ってみる。


 火はさっきやったから、次はマウと同じ水。

 俺は魔力を集め、水をイメージして球を作る。出来た。

 マウのよりも水が透き通っていて、ガラスのように綺麗だ。俺は魔力の供給を止め、次の属性に入ってみる。次は風、これも簡単に出来た。

 そんな風に属性を一つずつやってみると……。


「フィアー。ちょっと見てみ」

「ん、何よ緋焔。ってえぇぇぇぇ!」

「フィアは叫びすぎだ。ちょっと近所迷惑」


 若干ではあるが耳がキーンと言う音をたてている。


「だ、だって、緋焔それ……」


 フィアが指を指す先……つまりは、俺の手の上には一つずつ色が違う六つの球が浮かんでいた。色は、赤、青、緑、茶、白、黒の色をしていた。


「それって……」

「あー、うん。なんか全部出来た。あと、魔力の量が多いほど綺麗な水晶玉みたいになるからつい」


 実際、キラキラと光っていて綺麗だ。しかも、それぞれ表面に周りの風景を映しているので余計に綺麗だ。


「ついじゃないわよ……。全属性って何なのよもう……」


 フィアはそう呟くとがっくりとうなだれてしまった。後ろにはズーンという効果音とともに出てきそうな、あの暗い空気が纏わりついている。八割方好奇心でやっていたのですごく楽しい。ただ、一つ問題があるとすれば……。


「なあ、フィア」

「何よ……」


 暗っ!さっきまでは他の方向に向いていたから分からなかったけど、いざ自分に向くと分かる。

めちゃくちゃ暗い!なんか今さらだけど、凄く申し訳ない気持ちに……なんでなってるんだ?まあ、今はそんなことより……。


「これ消えないんだけど」

「ハア?」

「いや、だからさっきから魔力の供給を断ってるのに消えないんだよ」


 実はフィアに見せる頃には、もう魔力の供給も断っていたのだが、消える気配が全くない。さっきは簡単に消えたのに……。


「きっと、魔力の込めすぎね。どこか適当なところにぶつければ消えるわよ。ああ、でも危ないだろうからこの前の結界よろしく」

「はいよ」


 俺は、とりあえずフィアとマウの周囲にこの前よりちょっと強めの結界を張り、一応自分の周りにも結界を張る準備はしておく。


「じゃあ、投げるぞー」


 俺はフィア達に一声かけ、手の上に浮いていた球を一気に近くにあった木にぶつかるように放り投げる。




 ズドォォォォォォン




 ……………………………………?

うん。とりあえず落ち着こう。はい、深呼吸~。

目の前の現実から逃げないで、落ち着いて状況を把握するんだ俺!目の前を見ろ、あるのは……。



 元森だった現荒れ地。



 ………………………。

 いやいやいやいや、これはいくらなんでも無いだろ!幻覚?そうだ、きっと幻覚に違いない間違いな―――。


(あーもしもし、緋焔です―?)


 …………。


(今、緋焔の辺りにあった森が一瞬で荒れ地になったんですけど何かあったんですかー?)

(まじで?)

(はい。マジもマジ。大マジですー)

(あー、うん。ごめん。魔法使ったら吹き飛んだ)


 もうね、ため息しか出ないよ。試しに使った魔法で辺り一帯が荒れ地になるとかシャレにならない。


(しょうがないですー。森はこっちで直すから貴方は、自分で空間作ってそこで教えてもらってくださいですー)

(りょーかい。って、俺空間魔法とか使えるの?)

(神様の力を持ってるんですから魔法は全部使えるにきまってるですー)

(……マジですか)

(そうですー。人間なら使えない神魔法だって使えるんですからねー)

(神魔法?)


 神魔法なんて……聞いたことも無いな。フィアの説明にも、出てこなかったし。名前通りなら、恐らく神様しか使えないんだろう。


(あれ? フィアちゃんから説明無かったですー? 神魔法っていうのは、創造、次元、時空、幻惑、破壊の5つで―――)

(ちょっとストップ)


 いま神様こいつが言ったのってもしかして、フィアが言っていた最高属性ってやつの事か?


(それって最高属性の事か?)

(人間の世界だとそう呼ばれてるんですー? 私達は、神様とそれに認められた人間にしか使えないから神魔法って言っているんですー)

(ふーん、なるほどな。おっけ。いろいろと助かった)

(貴方がお礼なんて何かあるようにしか思えないですがここは受け取っておきます。それじゃあ、バイバイですー)

(じゃあな)

(あ、あといいこと教えてあげるですー)


 いいこと……?


(近くに殺気を押さえてる人間が複数いるから気をつけるですー)


 神様あいつはそう言うと思念を切った。ただ、今俺が気になるのはそこではなく―――――。


「これ……は……」


 これからやってくるであろう神の思し召し(やっかいごと)の処理だった。





作者「やっと主人公が魔法を使えるようになった・・・。長かった・・・」

エセ「全部あんたが決めたことなんやけどな」

作者「細かいことは気にしない♪」

エセ「・・・・・」

作者「さて、次回はまともな戦闘シーンとなります」

エセ「今までは主人公の覚醒の余波だけで倒してたからなー」

作者「・・・頑張らせて頂きます」


作者は、感想ご意見などを常時お待ちしています。

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