第零幕 舞台の裏側
いきなり、ちょっとマイナスな方向からスタートします。ご注意ください。
嫌になった。
面倒くさくなった。
いる意味がなくなった。
居場所がなくなった。
言い方はいくらでもあって、理由もいくらでもあった。ただ、やることはたった一つだった。
この場所からたった一歩。
たった一歩踏み出すだけでいい。いつも通り歩くだけ。
なのに体が言うことを聞かない。なぜだろう。
こんなにもそうすることを望んでいるのに、体が、生物としての本能がそれを拒絶している。
今は体の所有権は僕ではなくなっていた。その時だった。
少し強めの風が吹いた。
暗い。狭い。何も見えない。
どうして僕はここにいるのだろう。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして・・・。
視界が真っ白だ。あれ、ここはどこなんだろう。はっきり見え始めた。部屋が見える。
カーテンで部屋が仕切られていて、横にはボタンのついた太いペンのような物が置いてある。
丸い小さなイスが置いてある。
三人の人達が涙を流しながら喜んでいて、必死に僕の頭を撫でていて、小さな女の子は僕の手を掴み「お疲れ様」と言っていて、女の人は僕の頭を撫でながら「気付いてあげられなくてごめんね」と言っていて、男の人は何も言わず必死に涙を拭っていた。
何だろう、みんなが喜んでいる。
白衣を着た人は笑って頷いていた。
泣くほど喜んでいる人がいる。
ナース服を着た人は女の人に「良かったですね」と目に涙をためて言っていた。
こんなにも喜んでいて。
廊下でもナース服の人達は泣いていた。
幸せそうなのに。
何人もの患者さんが部屋の前に集まっていた。
「あの、皆さんは何をそんなに喜んでいるのでしょうか?」
その瞬間。僕には世界が凍りついたように見えた。
はじめまして。この小説を書かせて頂いている神薙と申します。
見づらい文章かもしれませんが、精一杯書かせて頂くのでどうか、生温い目で見守ってやってください。