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2話 名前はまだない

改訂しました。わかりやすくなってます。よろしくお願いいたします。

  とりあえず、賭けには成功したようだ。危険が全くなさそうな心地の良い風が吹く草原で目を覚ます。行ったことはないがヨーロッパののどかな田舎のような場所だ。こういうところで昼寝したら気持ちいいだろうな、なんて異世界に来て早々のんきなものだ。自分でも笑ってしまう。


 さっきから目を覚ますとか笑うとか、人間の行動をしているつもりだが、できてはいないだろう。


 なぜなら、俺は人間ではないのだからっ!!


 何を隠そう。俺は人間ではなくスライムになることを選んだのだ。理由はそれが一番俺の理想の生き方ができそうだったからだ。理想の生き方といえば、俺が天界でこの姿になったのは、ユニークスキルの取得条件を満たすためだ。だが、そのスキルを取得するとスキルポイントが心許なくなってしまう。そのため、まずはレベル上げをしたいと思う。


 だが、この広い草原には隠れる場所がない。このだだっ広い草原にいればいつどこから襲われてもおかしくないため、隠れる場所のある近くの森に移動することにした。


 ふーーっ、やっと森についたのだが、俊敏1はあまりにも遅い。きっとはたから見たら身長50センチの青いナメクジみたいだっただろう。レベルアップで得たステータスポイントの使い道はとりあえず、俊敏に決定した。


 木陰に隠れ周囲を確認する。森といってもさっきいた草原がそうだったように、なんだか暖かい感じがするから、あまり強い魔物が出てこないと思う。ほとんど俺の願望だが。風魔法はCランクを所持しているが、如何せん魔力4しかないため無駄な消費はできず、大量の敵を一度に相手取ることもできない。


 しばらく木陰で魔物を探していると、ズルーーーズルーーー何かを引きずる音が聞こえてきた。

 この音は間違いない、この木陰に来るまでに何度も聞いた馴染み深い音、スライムの足音だ。足音が聞こえる方向に目をやる。そこには50センチくらいの青い球体がナメクジのように這っていた。うーん、なんと惨めな。自分で言ってて悲しくなる。あれはどう見ても青いナメクジだ。


 青いナメクジだが、念のため鑑定眼(D)でステータスを確認する。よし、問題ない。Fランク風魔法1発で十分に倒せそうだ。


 「吾輩はスライムである。名前はまだない」と木陰から心の中で叫ぶ。 

 では、準備も整ったことだし武士道精神にのっとり、いざ尋常に勝負!!


 風魔法・ウィンドカッター


 4しかないMPが残り1になるが、無事魔法は成功し目の前のスライムの身体が真っ二つに分断される。


 レベルがあがりました―――脳内にレベルアップのアナウンスが流れてくる。


 よっしゃー!所詮は青いナメクジなのだ。

 初陣で勝利した。俺はこの戦法で勝って勝って勝ちまくってやるんだ!そんな青春スポーツマンガのような一幕を挟みつつ、幾体のスライムを狩っていった。


 「ステータスオープン」

______________________________________________________________________________________________________________________________________________________


ステータス

名前 :ーーー

年齢 :0歳

種族 :スライム

レベル:5

HP :4/12

MP :4/12

筋力 :6

耐久 :6

俊敏 :6

知力 :6


装備 :なし


ユニークスキル:スキル図鑑

        アカウント作成 New

    スキル:風魔法(C)

        鑑定眼(D)

        経験値取得率上昇(B)New

       


スキルポイント:40




スキル説明 

 『アカウント作成』・・・【権能】アカウント作成、???、???、???

 アカウント作成:新たな生命を作り、それに応じたステータスを取得することができるスキル。アカウントとは、サンプルを摂取することで、因子を抽出し新たなステータスを獲得を取得できる。


 経験値取得率上昇:ランクが高ければ高いほど経験知取得率が上昇する。パーティーを組んだ時、経験知を共有できる。


______________________________________________________________________________________________________________________________________________________



 来る日も来る日も木陰の前を通り過ぎるスライムを狩り続け、ついに5レベルになった。レベル5になったところで、スライムを種族に選んだ理由であった念願のユニークスキル:アカウント作成を取得した。このスキルを取得するには、俺以外には絶対に達成できないであろう条件があった。それは、女神の体の一部を摂取することである。そのために、天界で身体を手に入れなければならなかったのである。それに、スライムは全身のどこからでも摂取できるため、条件を満たすために打って付けであった。


 アカウントというのはステータスとステータスを持っている主体のことである。つまり、俺であればステータスとスライムこれら二つを総称してアカウントという。ステータスが主体の認知を可能にしているというわけである。ステータスがなければ生命体という認知をされない。ここでいうステータスとは、種族やスキル、能力値の総称である。つまり、アカウント作成とは、種族やスキル、能力値などのステータスが全く異なる生命を作り、そのすべてが新しい自分になるということだ。例えるならば、ゲームでいうセーブデータのようなものである。もちろん、新しいアカウントを作成しても既存のアカウントが使えなくなるわけではない。


 このスキルがあればアカウントを作成するだけで、人生をやり直せるということであり、新天地に新たな姿で臨めるということである。ただし、種族のサンプル、つまり身体の一部を摂取しなければならないため、今すぐに人族や上位種の龍人族などのアカウントを作成することはできないのである。


 全く知らない異世界での第二の人生で何をしたいかわからなかった俺の、なんでもできるように、やりたいこと全部できるように、を叶えてくれる最高のスキルである。


 “アカウント作成”の権能はほとんど明らかになっていない。権能の内容はスキル図鑑にも記されておらず、そもそも、アカウント作成以外に権能があることすら記述がない。明らかになっていない能力がほとんどだが、アカウント作成だけでも十分すぎる。


 さらに、経験値取得率上昇を取得した。

 経験値取得率アップはかなりのレアスキルでスキルの解放条件がなかなか鬼畜だった。というか、スキル図鑑を持っていなければ発見すらされないだろうというものだった。その条件というのが、変顔をしながら魔物を5体倒すというものだ。あの女神様完全にふざけているだろ。なんだその条件、なぜ命のやり取りをしながら変顔をしなければならないんだ。だが、スキル図鑑を持っていなければ見つけられないスキルだろうし、この世界のほとんどの者が持っていない貴重なスキルというわけだ。スキル図鑑、すごく便利なスキルだ。


 スキルポイントは1レベル上がるごとに、5ポイント獲得できた。そして、“アカウント作成”に100ポイント、経験値取得率上昇(B)に150ポイント消費した。

 

 一方、ステータスは1レベル上がるごとに、HPとMPが2上昇しそれ以外が1上がった。

ステータスポイントでMPと俊敏を中心に上げた。

 

 さて、俺の次の目標はスライム以外の魔物を捕食することだ。アカウントを作成するためにサンプルを摂取しなければならない。俊敏も十分上がったし、変顔からもスライム狩りからも卒業だ。

皆様のブックマーク等が励みとなっております。引き続きよろしくお願いいたします。

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