蒼海の眼の事後処理
ダンジョンの階層は逆走ができないことから、縛り付けた“蒼海の眼”9人、そして死体になった3人もまとめて22階に降ろして出口に向かう。
目立って顔を見られるのも後々が面倒なので、捕まえた側であるはずの“選ばれた盟友”も顔を服などで隠してコソコソして進むし、別の面倒を回避するために捕まった“蒼海の眼”の顔・姿もできるだけ隠していたので、その集団の姿は滑稽であった。
ダンジョンを出たところで、衛兵団の馬車を手配したので分隊長達3人と“蒼海の眼”は生死を問わずそちらに乗り、“選ばれた盟友”の6人は冒険者ギルドに少量の討伐証明などを納品した後に“オトマン書肆”に移動する。
「カミラ!無事だったのね!」
カミラの両親にもここに居るという伝言を頼み、こちらに来て貰ったのである。カミラが両親の抱擁から解放されたところで、先ほどまで話していた続きに戻る。
「お母さん達にこっちに来て貰ったのはね、“蒼海の眼”が壊滅したわけでは無いからなの」
「どういうこと?」
カミラを攫った時の女性が今回には居なかったこと、冒険者クランの全てが21階層に到達経験があるとは思えないこと、21階層より深く潜れる実力者が全員来てはいないであろうこと等を説明する。
「だからね、万が一のことを見越してうちの工芸屋を見張っているかもしれないの。ダンジョンの出口では、捕まえた“蒼海の眼”を引き回してしまったしね」
「それって。じゃあいつまでも危ないの?」
「いえ、今回はたくさん生きたまま捕まえられたので、あのクランの悪事を吐かせて追加逮捕も行いますので……」
シミリートの説明にも、それはいつになるの?等々の追加疑念がおさまらない。