アンダロフでの孤児院
翌朝、朝食をとりながら孤児達には話をする。
「え?みんなもこの街に残るの?」
「えぇ。だから、もうしばらくは一緒ね」
ほっとした感じの年長の子の顔を見ると、昨夜はかなり悩んだのだと思われる。もっと早くに決断してあげれば良かったと思ってしまう。
「ごめんね……」
「何を言っているんだ?アイツらのためにも助かるよ」
「ダク、お前も、だろう。素直になれよ」
「何!ロフ、お前だって」
子どもたちの反応も見て安心したところで、再び王都の中心部にいるはずのオリガに連絡をとる。
そして彼女が来るまでの間に、この都での孤児院の噂を収集しつつ、空き店舗の調査、そして拠点をこのアンドロフに変更する手続きのために冒険者ギルドに向かう。
オリガがいつ来るかわからないのと、子どもたちの面倒のために留守番班を作りながらの役割分担である。
「冒険者ギルドには孤児院出身の冒険者がいらっしゃいますから、少しは話が聞こえてくることがあります。ただ、デメテル神殿付属の孤児院は経済的に苦しいようですね。戦死者の遺児用の王立孤児院はそれよりマシのようですが」
「やはり寄付する余裕のある人が少ないからですか?」
「はい、それが一番ですね。ただ、街中に浮浪児がいないことにお気づきではありませんか?つまり孤児院で全ての孤児を引き取って、最低限の食事は用意しているのがこの国の自負ではあります」
「あ、言われてみれば!すごいですね」
オンデンスク国の侵略に対抗するために独立した気概に通ずるのか、イスクラディヤ国に残った住民よりも自国を誇りに思っている住民が、この王都アンダロフに多いことを認識する。




