イスクラディヤ国内
「え?ドラゴレシエ国?」
「知っている?」
「ま、名前くらいは。このイスクラディヤ国から独立して、オンデンスク国と戦っているって」
朝になり、温めたスープを孤児たちと食べているときにダニークに聞いてみる。
「じゃあ、そのドラゴレシエ国に行くことにするのだけど、大丈夫かな?」
「ん?まぁどこに行っても、セントヤール以外のことは知らない俺たちだし、聞かれても何とも……」
「実はね、私たちこのイスクラディヤ国に来る前にドラゴレシエ国を通って来たんだけど、そのときに伝手ができていてね。そこであなた達のことを相談したいと思って」
「ユリたちが信じられると思う人ならば、会ってみても良いよ」
「そうね。私たちも受け入れて貰えるか相談してみるところからだし」
「まずは戦争になっている場所から逃げ出さないとな」
ここに居続けたいと言われないようにシミリートが話をまとめ、食事が終わったところで戦馬たちに分かれて乗り込んで東に向かう。
東に向かう街道は、大きな荷物を乗せた大八車を引きながら東に移動する人たちであふれていた。
「この人たちって、セントヤールから逃げているのよね」
「そうだろうな。東だけでなく西にも逃げているのだろうけれど」
人が多い場所では戦馬も走れないので、大八車や荷馬車が通らない街道からそれた草原を走る。とはいっても、小さな子どもと相乗りしているので速歩程度である。
幸いに、子どもたちも怖がることなく、まるで遊具に乗っているかのように楽しんでくれているので、その速さで移動することができる。




