セントヤールからの脱出3
ハンソク王国の軍船が攻め込んできた港街セントヤールから、孤児たち6人と一緒に逃げ出した後、どこに行くかが悩ましい。
「なぁ、念の為に確認だが、ダクたちをトリアンまで連れて行く話は無いということで良いか?」
簡単に行き先が決まりそうに無いので、サンダーが話を整理するために話題を少し変えてくる。
「そうね。あんなに小さな子どもも居るから、それは良くないんじゃない?」
「そうだな」
カミラの発言に皆が同意する。
「じゃあ、どこかに置いて行くとして、放置するのでなければ預けるのだよな?信頼できるところに」
「そうなるわね。そうね、信頼できるって。あの子たち、孤児院のことを信用していなかったわよね。当たりが悪かったのかもしれないけれど」
「あぁ、どこかの教会付属の孤児院だったのだろうが、な」
「サンダーが言いたいことは分かったわ。オリガちゃんに預けに行くってこと?」
「あぁ、ただお金のない国だから、それなりに金銭的な援助をする必要があるが、それさえすれば責任を持って対応してくれる期待はあるだろう?」
「あの国には戦争孤児も多そうだから、孤児院の整備は必要よね。確かにお金や物資を渡せば可能性はありそうね」
「よし、じゃあ東に戻るか。ユリもそれで良いか?」
シミリートが話をまとめるためにユリアンネに話をふる。
確かに孤児たちをどこかに預ける際に、金銭を渡すのは当然になるだろうが、その金銭をネコババする可能性の少ないところに預けたい。その意味では、知り合いのほぼいないこの地方で、立場があるオリガ王女は候補になる。
「そうね、話に乗ってくれるか相談してみましょうか」




