セントヤールからの脱出2
「子供たちはみんな寝たわよ」
港街セントヤールを脱出し、孤児たちが利用していた森に来たあと、その近くで野営をしている一行。
「じゃあ、この後のことを相談しないとな」
「みんな、ごめんね」
シミリートが話を始めたところでユリアンネが謝る。孤児たちを無理矢理連れてくることを決めたのが自分という謝罪である。
「ユリ、もう大丈夫よ。私たちも言い出せなかっただけで、きっと置いて行ったら後で後悔したと思うから、逆にありがとうね」
「カミラ……」
「ま、そういうことで誰が謝ることもないな。よし。で、これからどうする?」
シミリートが再度仕切り直す。
「方角的には3つ。南の海は無いから、東のドラゴレシエ国、北のオンデンスク国、西のルノレシエ国。もちろん国外に行かなくても良いが、その先にはそれらの国がある」
「北は戦争が始まったところだから危ないわよね」
「でも、さらにオンデンスク国まで入ってしまったら、逆に攻め込んでいる側だから安全かも」
「なるほど。じゃあ、東のドラゴレシエ国は?オンデンスク国が攻め込むのがイスクラディヤ国になったということは、もしかすると抵抗が強くて諦められたのかもしれないよな。わざわざ独立してまで抵抗したのだから。そういう意味なら、独立したくなるくらいグダグタなイスクラディヤ国ってことで狙われたのかもな」
「そう考えると、このイスクラディヤ国に居続けるのは危ないかもね。それにドラゴレシエ国ならばオリガ王女が居るわね。孤児たちくらい預かってくれるかも」
「いや、あの国はお金がなくて旅人の冒険者の俺たちを騙したくらいだから……」
「西のルノレシエ国は情報が無いよな。これから仕入れたかったのに。ただ、トリアンに帰る方向といえばこっちだよな」




