女悪魔ラウキア3
「ヨルク?」
急に、自分の斧を悪魔の依代にすると言い出したヨルクの顔を、ゾフィがのぞき込む。
「あ、斧の傷みを治すのが簡単だから?」
ゾフィの言葉にヨルクが頷く。
「確かに、さっきの戦闘でも盾のように使ったから傷んでいるか気にしていたよな。直したくても今の状況では鍛治ができるわけではないし」
「……あなた達、悪魔の使い方を間違えているわよ」
ラウキアがため息をついたように見える。
「で、どうなの?」
カミラが確認をする。
「私は自分より低位の者の言うことを聞くつもりはないわ。それに魔法も使えない男に使役されたくない」
「じゃあ、あなたに魔力を供給した彼女、ユリならば文句は無いわね?」
「あの悪魔の契約主ということね?私にその実力を改めて見せてくれたら考えるわ」
「この国に来てから、テストされてばかりね」
ユリアンネはため息をつきながら、広間でも誰もいない方向に向けて王級火魔法≪炎槍≫を発動する。また、王級死霊魔法で生成した死霊を呼び出す。
「……分かったわ。あなたになら従うわ。ついでに契約もお願いできるかしら?」
以前に、ギアマと行った≪契約≫魔法をラウキアに対しても行い、依代をヨルクの斧に指定するユリアンネ。
「これって、≪剛撃≫の魔法のバトルアックスだけど大丈夫よね?」
「その効力を残したまま依代にすることはできるわ」
「じゃあ、お願い」
ラウキアの姿が消えたところで、ヨルクが前に出したバトルアックスが持ち手も含めて黒くなる。