人型魔物ダンジョンの悪魔3
「ギアマ、もう良いと思うのだけど」
ユリアンネは、女神像の奥に対する魔力供給をしばらくした後に確認する。
「あなたが姿を現すためにあげている魔力よりかなりたくさん注入したわよ」
「あ、あぁ。まぁ良いだろう」
「あ、コイツ。ユリに必要以上に魔力供給をさせようとしていたわね。全く油断のできない奴なんだから」
カミラに指摘されて動揺した気配の悪魔ギアマ。
「ふん!それよりも、そこに封印された悪魔!我のおかげで封印から出られるようになったのだから、おとなしく我の眷属になれ!」
小さな姿で女神像の前に浮かびながら叫ぶギアマは、正直なところ迫力も無いが、誰もそれについて指摘はしない。
「おい!もう出てくることは出来るはずだろう!後で居なくなってから出てこようなんて許さないぞ!」
「はぁ、小者が五月蝿いわね」
ギアマと同様の小さな姿で現れたのは、女性のような悪魔であった。
額の左右から角が生えており、背中にはコウモリのような翼があることに違いはない。
「へぇ、悪魔って女性もいるのね」
「カミラ……」
「私たちに元々性別はないわよ。この世界に現れたときの人間のイメージがそう決めるのよ」
「へぇ。で、あなたの名前は?」
「私の名前はラウキアよ」
「なかなか素直じゃない。そっちの悪魔と違って」
「封印から出してくれた恩義はあるからね」
「おい、ラウキア。我の眷属になれ!」
「それはお断りよ」
「なんだと!」
「ギアマ。ちょっと言っておきたいことがあるのだけど」
カミラがギアマに指摘する。
「あなた、我って自分のことを言うけれど、俺とかの方が良いわよ。威厳もないし、似合わなくてカッコ悪いわよ」
「ぐ!」
確かに話が進まないので黙ってくれる方が良いが、その黙らせ方は、と思ってしまう仲間達。似合っていないのも事実ではあるのだが。