人型魔物ダンジョンのボス戦
「ぐぅ!」
オーガに対峙している中で、最前列としては一番未熟なヨルクが、敵の攻撃をさばくのに失敗して唸る。
何とかオーガの棍棒を地面に流せたが、手首を痛めたようである。
「ヨルク!」
後ろにいたゾフィが、傷回復ポーションを手にして近寄り、ヨルクの手首にふりかける。
「バカ!危ない!」
そちらに気を取られてしまったヨルクが、再び振りかざした棍棒に気づく。
ゾフィを突き放すように後方に逃すことで、自身は敵に背中を向けることになる。
「キャ!」
突き飛ばされたゾフィの悲鳴でユリアンネも状況に気付き、そのオーガに割り当てていたゴーストをオーガの顔にぶつけさせる。
流石にオーガもゴーストが顔に突撃してくると、狙い通りに棍棒を振りおろすことはできず、ヨルクも体勢を立て直す。
通常オーガと対峙しているジーモントもバックラーという小さな盾でなんとかしのぎながら、オーガがゴーストに気を取られた隙を使い、炎をまとうショートソードで反撃を行っている。
しかしBランク魔物のオーガなので、先に魔法攻撃で体力を減らしていたとはいえ、まだまだ倒れそうにない。ここに来るまでの間ならば当てにできたサンダーやユリアンネの攻撃力は期待できない。
その様子を見ていたカミラは、魔剣である≪穿孔≫の短剣を含めた投擲用の短剣全てを投げ終わったところで参戦する。
氷をまとうショートソードを発動させて、ジーモントやゴーストに気を取られているオーガの背後から、膝裏を狙った攻撃である。