人型魔物ダンジョン最奥2
それからも引き続きオーガを倒しながら4階層を進む“選ばれた盟友”の8人。
「ちょっと待って。その先の広間。普通より大きなオーガが2体いるわ。普通のオーガも3体」
「おぉ、ボスってことか」
「次の階層がないなら、これで最後になるのか」
普通にいうとAランク魔物と思われる2体がいるのに、終わりが見えたことの方が嬉しく思う仲間たち。
以前のオーガ村に比べて、ここのオーガは連携も少なく知性は低そうなことも、安心材料の一つなのであろう。
「安全のために、もし可能ならば何体かだけでもこっちに引っ張って来られないかな?」
リーダーらしく、少しでも安全になる案を考えるシミリート。
「そうよね」
ユリアンネもそれには同意であり、皆の準備ができたところで≪炎槍≫を通常オーガの1体に対して発動し、釣ってみる。
「あら。動かないわね」
「じゃあ、逆にこのまま」
大型オーガの護衛として離れてはいけないと思っているのか、釣られてきた通常オーガの1体が倒されるまでその場を動かなかった。
しかしその結果としてか、大型と通常の2体ずつのオーガがまとめて広間の入口に走ってくる。
「うぉ」
「あの巨体が来ると迫力が!」
盾を持つシミリート、ジーモントだけでなくヨルクとサンダーが前面に立つ。
その間にもゾフィは≪遠射≫のショートボウで矢を放ち、ドロテアとユリアンネは敵の進路に≪炎壁≫を発動する。
2人の作った≪炎壁≫をものともせず突っ込んでくる姿には恐怖を感じてしまう。
「来るぞ!」
シミリートが皆に気合いを入れさせるために発声している。