人型魔物ダンジョン深部3
「ヨルク!やるじゃないか!」
すぐ横にいたシミリートが声をかける。
シミリート側のオーガにも後方部隊からの支援があり、2体とも倒し切った後は、皆がヨルクを見る。
「ははは、うまく行っただろう?」
「もう、心配させないでよ」
ゾフィがヨルクの背中を叩く。
「あんなにさばきが上手かったか?」
「いや、ずっと後ろから見ていたからだよ。オーガは力があることに依存しているからな。その前のミノタウロスもそれに近い感じで斧を扱っていたし」
「じゃあ、逆にオークみたいにもう少し身軽に動かれると?」
「それはまだまだだな、きっと。だからジモが盾をうまく使えるようにはいかないぞ」
「いやいや、ヨルクのそんなのを見たら休んでいられないな。ヨルク、ちゃんと交代制だからな。ずっと前はやらせないぞ」
「あぁ、ずっとはできないから交代してくれ」
ジーモントとヨルクはお互いを認めながら負けないという意識もあるようである。
「なんか良いわね。私たちは……」
「何を言っているの?私はショートソード、カミラは短剣投擲で、副武器も頑張るんでしょう?」
ゾフィとカミラも刺激されているようである。
ユリアンネとシミリートは別格。後から“選ばれた盟友”に参加したドロテアとサンダーも上を行くという意識で、自分たち4人は劣っていても仕方ない、という気持ちになりかけるのに対して、発奮しているようである。
昔からの仲間であるシミリートとユリアンネは互いに目配せしてうなずいている。
それなりに空気を読めるドロテアとサンダーは何も言わずに見守っている。