人型魔物ダンジョン深部2
「居たわ。オーガが2体。大剣と棍棒よ」
シルヴィスの視界を使った偵察の結果をユリアンネが皆に共有する。
「よし!」
いつも以上に気合が入っているヨルク。
「無理はするなよ。いざとなればユリの魔法があるのだし」
「大丈夫だ」
大剣の方のオーガがシミリートの前面に来たので、棍棒の方にヨルクとサンダーが対峙する。
こちらの3人が横に並べる幅がある通路であり、オーガはそれぞれ力任せに自分の武器を振り回せる。
その強烈な一撃が振り下ろされる際、サンダーはいつものように後方に回避してしまうが、ヨルクはその場に踏みとどまる。
「ヨルク!」
後ろからゾフィが悲鳴のような声を上げながら、矢をそのオーガに向けて放つが焦りもあって外している。
「フン!」
ヨルクは自身のバトルアックスを棍棒に斜めに当てることでその棍棒の勢いを逸らさせて、棍棒は床を叩きつけることになる。
その隙を狙い、ヨルクは棍棒を振り下ろすために踏み出して来ていたオーガの右膝に対して、魔法武器である≪剛撃≫のバトルアックスを叩きつける。
思わぬ攻撃を受けたオーガは、それで膝が断ち切られることは無かったが、かなりのダメージを与えた感じである。
その後の動きを見ると、その右膝を前にして踏ん張っての力任せの攻撃が難しくなったようである。
その動きの変化を察したサンダーが、素早い動きで刀による突き、場合によっては斬りつけも行うことで、魔法による後方支援も受けながらそのオーガを倒し切る。
後方部隊も不安に思ってそちらに集中攻撃したこともあり、シミリート側のオーガより先に倒すことになった。