アロマ3
ユリアンネは何となくだがアロマっぽくなった物を何種類か選別し、カミラとゾフィに声をかけて好みを確認して貰う。
「ユリ!これってすごいわね。ハーブティーは飲み過ぎると大変だけど、これならば部屋に置いておくだけで良いのよね。意識が高い女性にはうけるわよ!」
「あら、私はあれが良いわ」
工芸屋の長女らしく、カミラが目をつけたのはガラス瓶に入れられたドライフラワーにアロマもどきを垂らした物であった。
「単に枯れた花っぽいのに、ほんのりと良い香りがして。落ち着くわ」
「確かに。でも、この小さな火の上で炙られて香ってくるのも、小さな火が揺れる様を見るのと合わせて人気が出てくると思うわよ」
「でも、日持ちもしないし、売り物にはならないわよ」
前世記憶に比べて雑な出来上がりであるとの認識があるユリアンネには2人ほどの興奮はない。
「良いのよ、食べ物だって日持ちはしないでしょ?頻繁にお店に買いに来てもらうきっかけにもなるわよ」
「でも店舗もないし、それにばかりかまけていられないわ」
「そうなのよね……店舗が無いのよね……」
「カミラは長女で親の工芸屋があるじゃない。ユリは書店だけどこのお店。私は次女だしお洒落な服を作って売れるお店が欲しいわ。そのお店にはこういう物を一緒に並べたい。そう、ハーブティーも一緒にね」
「あら、楽しそうね。良いわね。でも店舗ね……ガラクタ市では客層も違うし」
「私もまだ薬師としての店舗を諦めたわけじゃ無いから、共同でお店を出せたら良いわね。でも、ヨルクの武器もって言ってきそうだし、何のお店か分からなくなるわね」
「あはは、そうね。雑貨屋でも無いしね。でも楽しそうね」
結局よく分からない女子会としての会話に変わっていき、元の目的のアロマもどきについては3人それぞれの好みのものだけを少数制作して自己消費することが当分の落ち着きどころになった。