人型魔物ダンジョン3
4階層を軽くのぞいて、遭遇したオーガ3体を倒して戻って来た一行。
「ふぅ。今夜はしっかり休憩することにしよう」
「そうね。この前にたくさん戦った経験はあるけれど、私たちよりは格上なんだから」
「しっかり複数で対処するようにすれば大丈夫だよ」
強敵を前に興奮しているのと、ときどき襲ってくるミノタウロスへの対応で少し寝不足の仲間達。
「念のために、みんなに≪軽病治療≫をかけておくね」
「寝不足にも効果がある気がするな。ありがとう」
流石にBランク魔物に対しては、同格である銀級のシミリートとユリアンネ、そして銅級ではあるが実力者のサンダー以外では単独対応は難しい。
「ここでは油断できないし、私が地図を書くわよ」
ゾフィがユリアンネから道具を預かる。
「ま、わざと作成しないと言っていた人たちも完成した地図は受け取らないだろうし、私たちが帰り道に困らなければ良いのだから」
ユリアンネもうなずいて、使い魔のシルヴィスを前方に飛ばす。
そのシルヴィスの視界をときどき確認することで、オーガとの遭遇は先手を取られることがなくなり安全に進むことができるようになった。
しかし、最前列のジーモントは疲弊があらわになって来る。
「ちょっと休憩をしようか」
もともと3階層でミノタウロスになったときに洞窟の通路も広くなっていたのだが、この4階層でもこちら側はなんとか頑張れば3人が並べる幅がある。
そのため、シミリートとジーモントの盾持ちだけでなくサンダーが最前列に出て、刀による突きなどを行う横で、盾での防御に専念していたジーモント。
それでも小さなバックラーで格上であるオーガの攻撃をしのぐのは大変だったようである。