人型魔物ダンジョン2
「もうオークにも飽きたよ」
2階層の進んだところでのシミリートである。
「そういうなよ。今のうちにたくさん肉を確保しておかないと、ヨルクが不満を漏らすぞ」
「そうだ。肉は神だ」
「そこに、ジモが料理した、が付くんでしょう?」
適当に軽口も話せる余裕がまだあるのは良いことである。
他人に強制されたダンジョン探索である。しかも初めてで、しばらく手付かずになっていた気配のダンジョンである。
「でも、まさか次の階層はハイオークだったりしないか?」
「そうなると、ますます肉の補充ができて嬉しいじゃないか」
「いや、そろそろ豚ではなく牛の肉も食べたいな」
そのジーモントの願いは微妙な状況となる。
3階層はミノタウロスであった。確かにハイオークと同じCランク魔物であり、Dランクのオークの次の階層として間違えてはいない。
「牛ではあるが、まさか可食部がないこいつとは……」
「中つ国のときみたいに、こいつらの斧だけは金属素材として貰っておこう」
すでに風花の中つ国でミノタウロスのダンジョンは経験しているので、苦労することはなく4階層へと思われる下階段を見つける。
「よし、今日のところはここで野営するか」
「なぁ、念の為に次の階をのぞいておかないか?何か準備するものがあるかもしれないし」
「確かにサンダーの言う通りだな。次は普通だとBランクだからな」
そして、野営の準備をする前に皆で装備点検をした上で階段を降りていく。
「そうくるか……」
「ま、仕方ないよな」
そこにいたのは、風花の中つ国でも苦労したBランク魔物のオーガであった。