人型魔物ダンジョン
洞窟タイプのダンジョンを進むとまず遭遇したのはゴブリンであった。
「はぁ、ゴブリンか。この前にたくさん倒したところなのに」
「今さら討伐証明もいらないだろうし、ダンジョンに吸収されないように魔石だけ取って行くか」
ユリアンネは≪灯り≫の魔法を使用することと、地図の制作をすることに専念できるくらい、皆が淡々と倒していく。
「少し遅めだけど、これなら安心して食事ができるな」
広めの場所でゴブリンを倒したところで、ヨルクが提案してくる。
「そうね。晩も朝も非常食だけだったから」
「ここは奮発してオーク肉にしてくれ。角兎は最近よく食べているし、せっかくなら景気付けに」
「そうだな。しっかりお肉も食べないと力が出ないのは確かだよな」
「ゴブリン相手ならそんなに気張らなくても良いだろうけど、その先が、ね」
少なくとも実力試験に合格し、本当にさせたかったであろうことに挑戦させているのである。きっと人質のオリガも酷い目にはあっていないと思えるので、無茶をする必要はないと思っている。
「はぁ。温かいお肉を食べると生き返った感じがする」
「本当ね。さっさとこのダンジョンも攻略して、オリガちゃんを助けて。それでこの国とはオサラバよ」
「一体どこのどいつが、って。1発くらい殴りたいわよね」
「その気持ちもわかるが、衛兵すらもあごで使える権力者だぞ。犬に噛まれたと思って早く忘れるようにしないと、な」
休憩も終わり、1階層の攻略を再開する。
そして無事に2階層に降りて遭遇したのはオークであった。
「おい、ここって」
「そうね。兵士が訓練に使っているのならば、人型魔物のダンジョンだったのかもね」
「ま、さっき食べたところなのにオーク肉を補充できるのだから、ありがたく思っておこうぜ」