実力試験3
「はぁ、いつになったら階段が見つかるのか……」
「自分が、俺の勘に賭けてみろよ、なんて言うから」
2階層の巨大蟻も簡単に蹴散らしながら地図にあった階段にたどり着いたのは良かった。地図の縮尺は怪しいところもあったが、洞窟タイプで道なりに進むだけであったので、大まかなところが合っていたので何とかなった。
しかし、3階層の地図はもともと記載された情報が少なかったのもあり、階段に見える印のところに行ってみたのだが、それらしいものはなかった。地図が間違えていたのか、その意図ではなかったのか。何にせよ質の悪かった3階層の地図に文句を言っても仕方ない。
今は急いで4階層への下り階段を探すため、いつものように地図の端から丁寧に探索するというよりは、大雑把でもそれっぽいところを目指すことにしたのである。
しかし、シミリートの勘では正解に到着できなかった。
どのルートに進んでもどうなったか分からないので、シミリートを責めるわけではないが、残念なものは残念である。
「じゃあ、次にあり得そうなのは、この道の向こうかな」
「そうね、次は、たくさん地図を書いてきたユリの勘の方に頼りましょうか」
経験からの推測か当てずっぽうか。いずれにせよ推測した場所あたりに下階への階段は見つかった。
「よし、今日はこの辺りで野営にするか」
「ヨルクの腹時計ならば確かでしょうね」
先を急ぎたい気持ちはあるが、情報もない階層に休憩もないまま突撃するほど自信過剰ではない。
「できれば明日に4、5の2階層分を攻略してしまいたいな」
「そうね。推測だけどDランクのアンデッドだったらゾンビ?」
「うわ。匂いが……」
「今日のうちにしっかり食べよう。そうなると4階層で食事の気分はしないだろうから」
それはヨルクのいう通りなので、夜も朝もしっかり食べて4階層に挑むことになる。