実力試験
「さぁ着いたぞ」
馬車から降ろされたのは、街道横に受付まであるダンジョンの入口であった。
「まさか?」
「そうだ。ここの最奥のダンジョンコアをとってくるように、とのことだ」
「どれだけの深さがあるかは分かるのですよね?」
「そのあたりはそこの受付で聞けば良い」
「5階層はあるという話ですが、長らく踏破した者がいないだけでなく、最近はここに入る冒険者もほとんど居ないそうですが」
「そのようなことは分からない」
「そうですか。でも、そういうことならば荷物は返してください。そこには野営するための道具など一切も入っていますので」
「そうだな。必要なものをということだったから」
「それと、ライオたち、私たちの戦馬達の面倒はちゃんと見てあげてくださいね。従魔とはいえ、もう少しまともな水をあげるなど」
「それは約束できないが、伝えておく」
「じゃあ、みんな。行くとしようか」
「仕方ない」
それぞれの荷物を受け取って武器などを装備し直した後は、受付に寄ってからダンジョンの中に入る。
いつものようにユリアンネが≪灯り≫魔法を発動してしばらく進んだところで、立ち止まる。
「で、真面目にダンジョンコアまで取りに行くの?」
「仕方ないだろうな。つまるところ俺たちにそうさせたい誰かの茶番劇だったということだろうから」
「オリガちゃんは大丈夫かな?」
「俺たちがちゃんと仕事をすれば問題ないだろう」
「じゃあ、急いで攻略しようか。シミ、入口で買った地図と情報を共有してくれよ」