捕縛
「ちょっと待ってください。何かの間違いではありませんか?」
いきなり城門で衛兵に取り囲まれて困惑する。
「いや、オリガという少女の名前を出したのはお前達だろう?」
「はい、そうですが」
「やっぱり。大人しくしろ!」
「みんな、ここは大人しくしよう」
シミリートが皆に声をかけて、馬から降りる。
仲間達も衛兵と喧嘩するつもりはないので、仕方なく馬から降り、衛兵の指示に従うように武器や荷物を預けていく。
「こっちに来い」
案内されたのは、城門横にある衛兵の拠点でも格子のある部屋、つまり牢屋である。
「流石にこれはないのでは?いったい私たちが何をしたというのですか?」
「お前達は村人達の獲物である肉を奪った泥棒の嫌疑もかけられている」
「いや、ちょっと待ってください。見たら分かると思いますが、少々の肉など自分たちで狩ることくらいできますよ。ほら、銀級や銅級の冒険者ですよ、私たち」
「そんなものは他人のものを奪うこともできるだろう?」
「そうかもしれませんが、私たちは狩った角兎の肉を村人達に振る舞った方ですよ」
「そうです、あのオリガという少女や村人に聞いてもらえれば。あ、オリガちゃんがどこに行ったか知りませんか?用を足しに行ったはずが行方不明になって。もうこんな時間ですし」
「ふぅ。やはりオリガという少女に心当たりもあるのだな?」
「えぇ、もちろん」
「彼女が、誘拐されかかったところを逃げて来たと言っているんだ」
「え?えぇ!?」
「いや、ちょっと。そんなわけが……」
「今晩はここで大人しくしておいて貰おうか。話はまた明日に聞くから」