ゴブリン退治の後3
しばらく角兎を狩りながら街道を進む。
「ま、本当はドラゴレシエ国はさっさと通り過ぎた方が良いのだろうけど。これくらいしておいた方が後ろめたくなくて良いよな」
「そうね。みんな優しいから」
シミリートがユリアンネに同意を求めてくるのでそう返す。シミリートもリーダーとして先に進むべきか少し悩みもしているのだろう。
「じゃあ、今夜はこの辺りで野営するか」
平原で街道沿いの角兎を狩って進んでいたのだが、そのうち森に入った。ここでははぐれ狼も見かけた。Dランク魔物であり住民には危険なのでもちろん狩って進んでいるのだが、それだけ時間もかかる。
「ま、森の中での野営も仕方ないよな」
少し広くなった場所には、以前に旅人達がかまどに使ったと思われる石の塊も残っていた。
「この森、あんなに狼がいたら、徒歩での通過は無理になっただろうに」
「ずいぶん使っていないのかも。馬で通過する人も、わざわざここで休憩して襲われたくないだろうし」
「そういう俺たちは?」
「このまま森を突っ切ってから休む案もあるけれど?」
「いや、交代で見張をしながらここで寝よう」
期待通りというか、ここで焚き火をしながら野営をしていると、それなりに魔物が寄ってくる。しかし、見張当番の2人で対処できる程度の魔物であるので、当番でなければ目が覚めても再び眠りに入る。
「ま、少しはこの森からも魔物は減ったかな」
「狼の肉か……念のために取っておくか」
ユリアンネは薬の材料にできる部分は貰い受けるが、確かに食べるなら狼より角兎の肉にしたい。