ゴブリン退治の後
ダンジョンを出た後も、再び2人組になりそれぞれ違う経路でゴブリンを探しながら街に戻る“選ばれた盟友”の8人。
「流石は銀級や銅級の皆様。昨日以上の討伐数であるだけでなく、ダンジョンコアまで。さらにそのダンジョンの地図も」
冒険者ギルドにしてみたら、急に立ち寄った旅人が自分たちの困っていたゴブリンの被害を解決していってくれているのである。
「念のために明日も1日、戦馬を走らせて残党がいないかを確認しますね」
効率が悪い日になるのは分かっているが、少しでも減らしておいた方が住民の安全が向上すると思うと、そこまではやっておきたいのは皆の気持ちである。
そしてこの晩と翌朝の食事は残念に思いながら宿で過ごし、約束通りゴブリンの殲滅に手分けする。
「初日ほど遭遇しなかったわ。それだけ安全になっていると思えば、空振りとも思わないけれど」
「そうだな。こっちも似た感じだ。山の方でもほぼ居なくなったのだろう」
夕方になり成果を互いに確認するが、期待通りというべきか、それほどゴブリンに遭遇せずに済んでいた。
「ではこちらが買取額になります」
「はい、ありがとうございます」
「そして、こちらは街を代表して私たちから」
おそらくこの冒険者ギルドの偉い人が秘蔵していたと思われるお酒の瓶を手渡される。
手渡してくれた職員のニヤリとした顔から、遠慮しない方が良いと思われたので、素直に受け取る。
「これはありがとうございます。大切に飲ませていただきますね」
「なぁ、貰って良かったのか?美味そうだが」
「ヨルクが飲んでも良いけれど、この街に空き瓶を置いていくと、きっと悲しむ人がいるだろうから、捨てるのは別のところにしよう、な」
シミリートの職場でも似たような思い当たることがあったのだろうか。