ゴブリンダンジョン
「戦禍が続いたのであまり食材はないので、この程度しか……」
戦馬を8体も泊められる、一応は街でも良い宿に来たはずであるが、そこで用意できる食事というのはかなり寂しい量のものであった。
通常の街では宿ではなく近くの食事処に向かっていた。しかし、この国の状況を聞くと食事処にあまり期待できないとの判断だったのだが、高級宿でも、だったようである。
流石にヨルクもその場で文句は言わず、部屋に戻ってから、荷物にしまっていた非常食を食べる。
「ジモに料理して、とは言わないのね」
「当たり前だろう。流石に宿の主人に悪い。彼らに責任は無いのだから」
「じゃあ明日も、ゴブリン達に責任を取って貰いに行こうか」
翌朝の食事も簡易なものだけであることに我慢して、街の北側の山に向かう8人。
昨日にシミリート達だけでなく、サンダー達もこの辺りでゴブリン退治をしていたからか、遭遇するゴブリンの数もかなり減った感じはある。
「ふーん、これがダンジョンなのかな?」
見た目には単なる洞窟にしか見えない程度のところである。
「ま、入ってみたらはっきりするわよ。まずは≪灯り≫の魔法で」
ユリアンネが一行の先頭と最後尾に光魔法を発動して洞窟に入って行く。
入口より奥は人が2人横に並べるくらいの幅がありそうであった。
「確かに奥があるみたいね」
すぐに遭遇したゴブリン3体を倒しても、まだ先があるようである。
「でも、そこで別れ道ね」
シミリート、ユリアンネ、ヨルク、ゾフィの4人と他4人の二手に分かれる。
「また別れ道があったらさらに別れてくれ。でも念のために2人以上で進むようにしよう」
シミリートの言葉に、もう1班のジーモント達もうなずく。