ドラゴレシエ国への入国3
それからも街道を進むだけなのに、何度かゴブリンを見かけるので、都度倒していく。
普通に角兎も食肉の確保のために倒すのだが、可食部のないゴブリンは嬉しくない。
「ちょっと多すぎだよな。ゴブリンの村でもあるのか?」
「いや、それにしても多いだろう。兵や冒険者は何をしているんだ?」
「あ、街が見えたし、そこで情報収集しようか」
「……辛い話だな」
冒険者ギルドで、道中で倒したゴブリンの討伐証明部位などを提出しながら、魔物の多さの理由を聞いた。
戦争に兵士も冒険者も駆り出され北方に送られたので、南方では戦力不足であり魔物が増えているのだと言う。休戦になったとはいえ、南方に兵をまわすと北方の守りが薄くなるのでオルデンスク国の侵略に備え続けているとのこと。
「そうは言っても、南方の住民の命も大事でしょう?」
「いや、もちろんそう思って兵をまわしてくれたときもあったが、手薄になったのを見たオルデンスク国は休戦しているのに越境して来て、村の家畜を盗むようなちょっかいを出して来たらしい。おかげで巡回の人手も必要なんだと」
「そんな……」
「なぁ、あんた達。銀級もいる上に皆が銅級以上なんだろう?ちょっとこの辺りの魔物退治をしていってくれないか?DランクやEランクをざっと片付けてくれるだけでも、この近辺の住民は助かるんだ。この通りだ」
冒険者がいなく閑散とするギルド建物の中に居たギルド職員全員に頭を下げられる。
流石にその様子を見て見ぬふりもできないので、承諾することになる。
「とは言っても、お金もあまり出せないんだが……」
「受けると言ってから言わないでよ。でも、受けるわよ。普通の買取額だけで良いわよ。上乗せなんて期待しないから」
カミラが言い切ってしまうが、誰も非難できない。自分たちの懐具合から、少々の上乗せの有無は関係ないどころか、買取額も貰わなくても良い程度である。しかし、そこは冒険者のルールとして最低限は貰う必要が双方のためにあると理解しての言動である。