北方諸国家群の情報2
「なるほどね。このゾリヴィヤ国の国民の自尊心が高いなら、さっきの口調も分かるわね」
ゾフィもうなずいている。
「なぁ、そうなると次のドラゴレシエ国はさっさと通り抜けないと、いつオルデンスク国が攻めてくるか分からないんだろう?」
「流石に休戦状態なのに急に攻め込むのは……」
「そうだな。でも迂回しようと思ったら、それこそ北方の軍事国家のオルデンスク国を通ることになるよな。それはそれで何かあったら大変そうだ」
「やっぱり、さっさと海沿いの国家群を通ろう。ドラゴレシエ国をなるべく早く通り抜けて。戦火の後もあるだろうし、食事も困っている人が多い場所だろう?」
「そうだな。俺たちが手助けして何とかなるような話ではないだろうし」
自分が孤児院出身と知ってから、ユリアンネは余計に孤児の心配をしてしまう。ただ、ドラゴレシエ国の孤児がどれほどの規模でいるか分からないが、個人の力で何かするというと偽善という単語と葛藤してしまう。
「正直、戦争に巻き込まれるのは嫌だから、このあたりの国はさっさと通り抜けよう」
それには皆が同意であり、自分たちの実家などのための情報収集や素材収集は最低限にするつもりになっている。
少し暗い気持ちになってしまったが、その日は早々に寝て、翌日からの移動に備えることになった。
「じゃあ、このゾリヴィヤ国もさっさと通り抜けよう」
宿を出るときに、ヨルクが大きな声でいうので、周りの人からはにらまれてしまうが訂正もできないので、少し頭を下げながら出発する。