洞窟のリザードマン
リザードマンのボスが、≪結界≫を迂回してユリアンネ達に三又槍を突き出してくる。
ユリアンネは使い魔のシルヴィスがようやく手元に帰って来たので、ボスの眼前を飛ばして注意を引きつけながら顔に突撃をさせる。
しかし行動を全て見せてしまっていたので、突撃は不意打ちにならず回避されてしまう。
近接戦闘のようなフェイントや駆け引きに慣れていないユリアンネにはそれ以上の技はない。
「ユリ!」
ゾフィが再びボスの顔に矢を放ち、ドロテアも≪火炎≫を発動するが、それでもボスはユリアンネを狙うことをやめない。
離れた場所のシミリート達も彼女達の方が気になり、対峙しているリザードマンに対して隙を作ってしまい劣勢になっている。
「もう、もったいないけれど!」
ユリアンネはツキノハラを去るときに陰陽師のサン・アーチャーに餞別で貰った中級の式神の紙を取り出す。
「感謝します!」
一時的な師匠となってくれた陰陽師に感謝しつつ、その人形の紙をボスの方に投げつけると、なんとなく影の薄い人間のような男性が現れる。
「そいつを食い止めて!」
式神はユリアンネとボスの間に浮かんでいたのだが、そのままボスに飛びつき、まるで相撲を取るようにボスの動きを止める。
それによりできた隙をついて、シルヴィスをボスの後頭部から突撃させ、とどめをさす。
「今度はあいつらよ!」
再びシルヴィスを、シミリート達が対峙しているリザードマンに攻撃させるのと合わせて、式神にも同様の命令をする。