川下の洞窟3
この際なので素材のことはいったん優先度を下げることにして、ユリアンネは≪炎槍≫を大きいリザードマンに対して発動している。
シミリート達が駆け出したのと同時であり、それが戦闘開始の合図のようにリザードマン達も行動を開始する。
シミリート達の倍の数のリザードマン達は、駆け付けてきた冒険者を取り囲むように散開する。
もちろん、それをそのまま受け入れるわけにはいかないので、ドロテアが≪炎壁≫を発動し、リザードマンが回り込めないように邪魔をする。
ゾフィもボス・リザードマンの気を引くため、その顔面に対して矢を放つ。
最初に≪炎槍≫でボスにダメージを与えた後のユリアンネは、ミスリルの使い魔のシルヴィスを操り、シミリート達と相対しているリザードマンの頭部に突撃をさせて倒すか、サンダー達が攻撃する隙を作らせている。
「ユリ!」
他より大きいリザードマンは最初にダメージを与えて来たユリアンネへの怒りが消えないようである。その後にゾフィが矢を当てているが、怒りの矛先を変えることはできず、ドロテアの≪炎壁≫を迂回しながら彼女達のいる場所までまわり込んで来た。
それに気づいたシミリート達も自分達が目の前で相対しているリザードマンが残っているのでこちらに駆け付けられないのと、すでに距離があり間に合いそうにない。
ユリアンネは慌てず自分達の周りに≪結界≫魔法を発動するが、ボスはその存在がなかったように三又槍を突き出してくる。
「キャ!」
≪結界≫に阻まれはしたものの、その勢いにゾフィは悲鳴をあげてしまう。
ボスは≪結界≫の存在を認識したようで、それすらも素早く迂回して追撃してこようとする。