川下の洞窟2
「思ったよりリザードマンが少なくないか?」
洞窟を進んでいるが、すれ違いに遭遇する2〜3体のリザードマンとしか遭遇していないからである。
「部屋らしいものも無いよな」
「分岐も複雑ではないし、ダンジョンっぽい感じでは無いわね」
「普通の洞窟にリザードマンが住み着いただけなんでしょうね」
そう話ながら進んでいると、大きな空間に出る。天井らしいところで、少し割れ間があり外のあかりが漏れて来ている。
そして、その奥の方に他より大きいリザードマンを中心に10体ほどが集まっているのが見える。
「ボス戦?」
「ダンジョンならあの奥にダンジョンコアとして大きな魔石があったりするのだろうけれど」
「ま、ここを拠点にしているリザードマンの親玉ってところね」
ボスらしい他より大きなリザードマンは、三又槍を右手に堂々と立っている。
その周りの普通のリザードマンは槍や剣など今まで同様の武器であり、何か騒ぎながらボスの指示を仰いでいる感じである。
「もう返り討ちにして良いですか?とでも言っているのかな」
「雰囲気はそんな感じだけど、ボスが堂々としているよな」
「ま、言葉も通じないし、異国の人間との交流という感じにはいかないわよね。殺すか殺されるか」
微妙な会話であるが、こちらも各々の武器を手に前に進んでいく。
魔法での遠隔攻撃を準備するユリアンネとドロテア、そして弓矢を構えたゾフィは後方で離れたままである。
「じゃあ、いくぞ!」
その3人を残して近接攻撃の5人は走り出す。
ヨルクはその中でもドタドタという感じで遅れ気味に走って行く。