川下の洞窟
リザードマン2体が入口を守っていた洞窟に入るつもりの8人。
「ライオ、お前達は洞窟の外で待機してくれな。もし敵の数が多かったら逃げても良いからな」
洞窟に入れず置いていく戦馬は、自分たちもCランクの魔物である。そのため、もしもリザードマン達が襲って来ても同ランクなので一方的にやられることはないと期待する。それにこちらは8体もいるので、無理をしなければ逃げることも可能であろう。
「うわ、なんか濡れた感じの床だね」
洞窟に入って最初に気づいたのはそこである。川に近いし、川と出入りするリザードマンが濡れたまま通るからなのかもしれない。
ユリアンネが発動した≪灯り≫魔法でみると、大きなトカゲの足跡のようなものもたくさん見える。
「うぉ!」
流石に8人もの人間が喋りながら洞窟に入れば、リザードマンにも気づかれていたのであろう。
分岐の影で隠れていたものが、盾を構えて先頭を歩いていたシミリートとジーモントを目掛けて斬りつけてくる。
「危ないなぁ」
分岐や曲がり角では特に警戒していた2人は、盾でリザードマンの攻撃をさばいていた。
しかし、ここからが厄介である。橋の付近で戦ったときは広い場所だったので後方からの遠隔攻撃もできたが、狭い洞窟の中では前衛2人への援護が難しい。
「大丈夫よ。任せて」
ユリアンネは落ち着いて、使い魔のシルヴィスを操り突撃させることでリザードマンを倒していく。
狭い洞窟で火魔法を使うことで酸素不足になってしまうことも懸念されるのもあり、取り得る選択肢は少ない。




