川下へ2
「だんだんぬかるんでくるわね」
「街道の付近は整備してあったけれど、護岸がないからかしらね」
川下に向かっていると、地面が柔らかくなり、だんだん戦馬の足が泥に取られやすくなってくる。
「こんな状態だと戦うのが大変だな」
「また余計なことを言って」
昨日と違い今度は石も飛んで来ないが、確かにこのままリザードマンに襲われると戦いにくいのは確かである。
「ちょっと川から離れて進むことにしようか」
地面が緩くなっていないところまで移動して、そこから南下することに切り替えた一行。
「リザードマンを見かけた住民の住む村って、そろそろじゃないのかな?」
「川から用水路を引き込んだ先の方って話だったけど。あっ、あれかな」
確かに川の水を農業などに活用するためか、小川程度の幅で地面が掘られている。
「この高低差だと、川が氾濫すると大変だな」
「住居だけは高めに作っているとか工夫はしているのでしょうね」
通訳をしてくれるフィジもいないので村に向かうことはなく、その小川を越えてさらに南下する。
「あ、山かな?丘かな?」
フィジが最初に気づいたように、確かに小高い土地が前方にあるのが見える。
ぬかるんでいない地面を進むので、戦馬の速度ではすぐに到着する。
「丘よりは山というくらいかな」
「この高さだと反対側は見えないな。まずは川側の方を進んでみるか」
少し川側に進むとぬかるんでいる感じはするが、山の斜面側に登って足場を確保しながら南下を続ける。
「あ、洞窟があるぞ」
「って、その前にリザードマンが2体いる方を先にいうべきでしょうに」