川下へ
橋付近でのリザードマンとの戦闘は、丈夫な鱗による皮革素材の確保を意識したので少し時間はかかったが、特に大怪我を負うこともなく11体全てを倒し切る。
「今度は素材もたくさん貰えるわね」
「ゾフィ、ここみたいに安全に戦えるとは限らないから、これ以上は場合場合にさせてくれよな」
「分かったわよ」
今日の素材確保の量には満足している気配のゾフィ。
「でも、こいつら食べられないんだよな?」
「いや、尻尾ならば調理して食べられると街で聞いて来たぞ」
「ゾフィ」
「分かっているわよ。綺麗に皮を剥いだあとならばあげるわよ」
ジーモントの言葉を聞いたヨルクは、ゾフィに頼んで尻尾の肉だけは確保できるようである。
「フィジがいないと守る必要がないから気が楽ね」
「通訳してもらう相手もいないからな」
「で、今日は川下に向かうのね」
「昨日から30体近くは倒しているのだから、魔物村が作られている可能性があるよな」
「そうね、その数を拠点以外に派遣、巡回させているのだから可能性はあるわね」
「オーガの村のときみたいに周りを巡回している奴らから減らしていけたら楽だろうな」
「いや、まずは魔物村の位置の確認をするべきだろう」
「もし取り逃すことになったら大変だから、ある程度の情報を入手したら冒険者ギルドに人手の協力依頼をするか?」
「それも規模を確認してから、ね」
昨日に川上に向かったときと同様に戦馬に騎乗したまま、今度は川沿いに南下してみる。
昨日ほど背の高い草が生えてはいないが、だんだんと足元がぬかるんでくるのがわかる。