ノムチへの道中
「普通ならこの道をまっすぐ進めば良いのだけど……」
フィジが、冒険者ギルドで事前に聞いていたことと照らし合わせて補足をしてくる。
「もうすぐ地元になるならば、道には詳しいんだろう?」
「そうだけど、魔物と戦う術を持たない一般人は、危険な道を覚えないのよ」
手前の街で言われたのは、もう少し進んだところにある川の近くに魔物が住み着いたと話である。
「リザードマンか。Cランク魔物だよな。トリアンでももう少し深く潜っていたら遭遇していたのかもな」
「そう考えると俺たちにはちょうど良い相手か」
「いや、銀級、Bランクのユリとシミもいるのよ。ツキノハラではもっと上級ともたくさん戦ったじゃない」
カミラが焚き付けてくるのだが、どうも話を聞くと、牙や爪などの細工物にする素材にも期待しているようである。
ゾフィもトカゲ皮の練習になると思っているようである。確かに、ツキノハラのときには、オーク、ミノタウロス、オーガというように皮革製品にするような素材は取れない相手であった。
「でも、他国で言葉も通じない国で、そんな冒険をしなくても」
「冒険者ギルドの話では、小さな街や村にはCランク魔物の集団を相手にできる冒険者も居ないから、私たちに期待する感じだったでしょう?」
「それはそうだけど」
「ねぇみんな、もしできるならば、一度だけでも様子を見て貰えない?」
「フィジ?どうしたの?」
「地元に近いところで、魔物に困っている人がいる。その魔物を倒せる人が一緒にいる。ならば、相談してみるのってそんなにおかしい?」