セグンを出発3
「ふぅ、一息だな」
港街セグンの一つ西の街に到着したときのシミリートのつぶやきである。
「そうね、ここに来るまでに賊に襲われたら、またセグンの衛兵にお世話になる可能性があったからね」
「人からものを奪うことを認められている私掠船の制度が普及しているのは、あの港街であるセグンだけよ」
「フィジの言う通りならば、その私掠船の乗組員を目指す奴、目指しても採用されないくらい下っ端が多いのはセグンの周辺だけと言うことになるかな」
「ま、治安が良く無いのは確かね。それに海の貿易も最近は止まっていたから、余計に食い扶持を稼げなくなった海賊達も増えたらしいしね」
「!フィジ、どこでその話を?」
「あら、私だって街で情報収集くらいしているわよ。自分の国のことなんだし」
フィジの話に少し引っ掛かりを感じながら、この街での食事場所を探す一行。
「あなた達の大きな馬を停められる宿屋は選択肢が少ないから、探すのも楽よね」
フィジが見つけて来た宿は、やはりそれなりの規模のものであり、値段もそれなりになりそうである。
「ま、仕方ないわよね」
ここまでの道中でも同様であるので、そこに関して今さらなので不満はない。
ジーモントが自分の実家の宿を継ぐので、中級や高級の宿の話は参考になると思っているし、それなりに稼いで懐が豊かになった一行は、知らない国で安宿に泊まって言葉も通じないところで苦労するのは避けたいと思っている。
「でも、屋台は行くぞ!」
セグンで後半だけは我慢をしていたヨルクがゾフィを誘って、さっそく買い食いに出発する。
あまりバラバラに離れたら大変と、カミラとジーモントも付き合って4人組になっているので、残るメンバで食材以外の店舗を回ることになる。