セファンの意図3
もともと、このハンソク王国は通過するだけで、この港街セグンも入らないつもりであったユリアンネたち。
セファンの要望通りというわけでもないが、長居しないことに反対するものもいない。
「そう思うと色々と食い足りないなぁ」
「ヨルク!あなたあれだけ食べていたでしょう?はぐれるくらい」
「もう、今日は市場に行くのは我慢しないと」
外国人として目立つ髪色の自分達は宿で大人しくすることにして、用事が終わったと戻ってきたフィジに買い出しを頼む。1人では量が多くなるというので、サンダーも一緒に行って貰う。
「さっき貰った金貨もあるのだから、美味いものをたくさん頼むぞ」
「ヨルクみたいに今すぐ食べるものだけでなく、この後の旅でも使える食材も頼むな」
ヨルクとジーモントの依頼に対して、自分の魔法の収納袋を指さして答えるサンダー。
結局、屋台で仕入れてきて貰ったもの、そして宿に併設された食堂での海鮮料理を堪能した仲間達。
「あなた達と一緒にいると、食事が豪華で嬉しいわ。普通の生活に戻れるか不安になるわよ」
「いっそ、ずっと一緒に行動するか?」
シミが軽く話を振ってみるが、フィジは首を振る。
「魅力的なお話だけれど、私には戦闘力がないから、冒険者の仲間にはなれないわ。今日で思い知ったのよ。足手まといになるってね。でも約束だから、この国を通り抜けるところまで付き合うわよ」
「そうか、じゃあそこまでは頼むな」
予定通り、西の端のノムチの街には一緒に行ってくれるというのであるし、そこまではやはり通訳が必要である。
そんなに戦闘ばかりではないはずなので、とフィジに酒を注ぎながら考えるシミリート。